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海外勢が引き揚げる「悪い株高」

 [東京 10日 ロイター] 10日の東京市場は株高、債券安。米ホワイトハウスと議会民主党が米自動車メーカーの救済法案で原則合意に達したと伝えられ、米株先物が上昇、つれて日経平均も先物中心に買い直された。

 12月10日、海外勢が引き揚げる「悪い株高」。写真は10月、都内で(2008年 ロイター/Yuriko Nakao)

 株式市場では下値の堅さを指摘する声が徐々に増えているものの、需給的には、ヘッジファンドなど海外勢が日本株から引き揚げるために売りポジションを閉じている影響が出ている、との指摘もある。それが事実なら「悪い株高」といえ、買い戻しが一巡したあとは、支えを失う可能性もある。

米財務省短期証券(Tビル)がマイナス金利をつけるなど、リスク資産を避ける動きも止まっていない。 

 <株高に意外感、買い戻し主導か> 

 株式市場では日経平均が続伸。前日の米国株は下落したものの、シカゴ日経平均先物が小幅高だったことを受け落ち着いた始まりとなった。寄り付き前に発表された10月の機械受注は前月比4.4%減と事前予想を下回ったが、「悪い部分はある程度織り込んでいる。相場は各国の景気対策の効果など先を見越している」(東洋証券・シニアストラテジストの児玉克彦氏)という。

 前引け後、米ホワイトハウスと議会民主党が9日夜、米自動車メーカーの救済法案で原則合意に達した、と伝えられたことから、米株先物とともにじり高となった。

 ただ、ここにきてのやや意外感のある株高について、市場では「クリスマス休暇を控えて、ヘッジファンド等の海外勢からポジションをクローズするための買い戻しが入っている。ファンドの解散や閉鎖に伴い日本株から撤退するための買い戻しもある。マーケットが縮小する方向性と考えれば良い株高ではない」(準大手証券エクイティ部)との見方が出ていた。

 三菱UFJ証券投資情報部長の藤戸則弘氏は「ファンダメンタルズ面では日米ともに悪化しておりSQ通過後の反動が警戒される。株価は悪材料を織り込んだとの見方もあるが売買代金が膨らまない中での上昇であり持続性には疑問がある。クリスマス商戦の結果が悪く、為替が円高に振れるようなことがあれば年末年始の薄商いの中で波乱となる可能性もある」と指摘している。

 DIAMアセットマネジメント、シニアポートフォリオマネジャーの宮田康弘氏も「為替市場は、1ドル90円を切ると介入が入るとの思惑から持ちこたえているようだが、12月の薄商い、3月年度末の乱高下しやすい季節性を考えると何かのきっかけで米株が急落しドル/円も一気に90円を割れる可能性もある」と、警戒する。

 ソニー6758.Tが9日、09年度末までに世界で約8000人削減するなどの大規模なコスト削減策を発表したが、市場の反応はさえない。需要減少による販売価格の下落でグローバルデフレも視野に入る中、「世界中で製造業が生産能力削減の方向にある。製造業全般に2010年3月期業績も厳しいものになることが予想される」(SMBCフレンド証券投資情報部部長の中西文行氏)との声も出ている。

 <円債先物は荒い値動き、米短期金利は68年ぶりマイナスに>

 円債は軟調。特に、新しい中心限月となった先物09年3月限は1円近く下げる局面もあった。

 下げのきっかけとなったのは限月交代に絡むテクニカル的な売り圧力。市場では、前日まではロールオーバーするための買いが優勢だっただけに限月間スプレッドのマイナス幅が広がっていたが「3月限の割高感を修正する動きが出ていたようだ」(国内証券)との声が出ていた。さらに午後になると、米自動車メーカー救済法案の進展で株買い/債券売りが出た。

 ただ、先物に比べて現物債の動きは鈍い。同法案で米ホワイトハウスと議会民主党が合意したとはいっても「現実的にどういう救済策が出てくるのか、その具体策をマーケットは注目している」(RBS証券シニアストラテジストの市川達夫氏)ため、実際には動きにくさもある。

 一方、米国では4週間物Tビル入札で落札金利がゼロになったほか、流通市場では3カ月物Tビル金利がマイナス0.01%と、1940年以来のマイナス金利を付ける場面があった。株価が底堅くなった、との声をよそに安全資産への需要が根強いことがあらためて認識された。

 メトロポリタン・ウェスト・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ブレット・バーカー氏は「不安感が市場から去っていないことを示す明確なサインだと思う」といい「手元資金を保全するためにリターンの犠牲もいとわないムードだ」と述べた。 

 <為替市場は参加者少なく、ボラティリティも低下> 

 為替市場ではこの日も投機筋が不在で「取引量は少なめ」(都銀)。「年末が迫って積極的にリスクを取ろうとする参加者が少なくなっている。まとまったフローが出たときだけ短期筋が追いかけるが、それもすぐに手じまってしまうので、動かないか急激に変動するかのどちらかという状況」(外銀)という。

 前日海外の取引では、ユーロ/ドルが2週間ぶりに一時1.30ドル台を回復。ユーロ/英ポンドがユーロ導入来の高値を更新するなど、ユーロの底堅さが目立ってきたものの、その主因は年末を控えた「欧州金融機関のリパトリエーション(資金の本国還流)」(欧州系銀)。

 方向感の乏しさは通貨オプション市場にも反映され始めた。ロイターデータによると、ドル/円の予想変動率(インプライド・ボラティリティ)は1カ月物で前日に一時18.70%まで低下し、1日につけた1カ月ぶり低水準に接近した。足元で急速な円高進行が一服しつつあることや、年末休暇が近づき積極的なポジション構築を見送る向きが増えている。オプション市場では「期先物のボラティリティにも低下圧力がかかり始めている。クリスマス明けから年末ぐらいまで、動意は期待できないかもしれない」(別の外銀)とする声も出ている。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集:宮崎 亜巳)

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