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ドル上昇はユーロ反落が主導、対円は95円が上値めどか

 基太村 真司記者

 1月6日、ドル上昇はユーロ反落が主導、対円は95円が上値めどか。写真は5日、都内のディーリングルーム(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

 [東京 6日 ロイター] 年明けの為替市場ではドル/円JPY=が1カ月ぶり高値を更新するなど、ドルの広範な切り返しが目立っている。しかし今回のドル高は昨年末に急騰したユーロの反落が主因で、この調整が終われば、再び米景気の急速な悪化を織り込む形でドルは反落するとの見方が根強い。ドル/円も上値めどは95円付近とみられている。

 為替市場では年始から「多くの参加者にとって予想外」(外銀)のドル高が進んでいる。6日までにドルは、対円で1カ月ぶり高値の93円半ばへ上昇したのに続き、対ユーロEUR=でも3週間ぶり、対スイスフランCHF=で2週間半ぶりの高値を更新するなど全面高の様相だが、市場ではこうしたドルの上昇に「明確な理由がよくわからない」(別の外銀)と首をかしげる参加者が少なくない。オバマ次期米大統領が打ち出した景気刺激策への期待感が手掛かりとする解説も少なくないが、足元景気が歴史的な低水準へ落ち込む中、年明け2日は上昇した米株が5日には早くも反落するなど「とてもそうとは思えない」(邦銀)という。

 複数の関係者によると、年明けから続くドルの上昇は米国やドルの問題ではなく、ユーロの反落がけん引している。ユーロは昨年12月、ファンダメンタルズなどから見て「たいした理由もない」(都銀)まま、欧州系金融機関を中心とする欧州勢のリパトリエーション(資金の本国還流)と見られる買いに、対ドルで3カ月ぶり高値となる1.47ドル前半まで、対英ポンドEURGBP=で史上最高値の0.98ポンド半ばまで急騰。「かなりの勢いで買いが入っていた」(後出の外銀)という。年が明けてそうしたリパトリが一巡、ユーロが反落し始めたことがユーロ安/ドル高を通じてドル全般の持ち直しにつながっている。

 前日夕方から海外にかけての取引でも、ユーロ/ドルは半月ぶり安値の1.3546ドルまで400ポイント弱、ユーロ/英ポンドでも半月ぶり安値となる0.92ポンド前半まで350ポイント弱の大幅な下落を見せた。特にユーロ/英ポンドが昨年、1ユーロ=1英ポンドという大台を目前に控える水準まで上昇していただけに「市場はユーロの買い持ちポジションにかなり傾いていた」(さらに別の外銀)という。実際、ユーロ売り圧力はかなり強く「中東勢や海外ファンドなど幅広い向きの売り」(別の邦銀)が出て、一段のユーロ売りを誘発するストップロスを次々に巻き込んだ。

 ドル高につながる米国サイドの理由がまったくない訳でもない。オバマ次期米大統領の景気刺激策や、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)GM.Nへの追加融資、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)FNM.NFNM.Pなどが保証するモーゲージ担保証券(MBS)を対象にしたニューヨーク連銀の買い取り開始など、景気悪化と金融危機を食い止める対策が次々に打たれている。「昨年から続けた様々な施策で、高止まりしていた住宅ローン金利が11月下旬から少しずつ低下している。マネーの『つまったパイプ』がついに流れ始めたことは注目に値する」(後出の外銀)と、悲観論一色だった米国への見方に少しずつ、変化の兆しも現れ始めている。

 だが、それがすぐにドルの本格的な反発につながるとの見方は少ない。急激に落ち込んだ米景気に下げ止まりの兆しは見えず、米自動車大手の救済策も道半ば。金利も歴史的な低水準で、国の財政赤字は広がる一方。ドルが買い通貨となり得る手掛かりは、ほとんど見当たらない。「ドルが下がらないのは、売ろうと思っても世界的な景気減速のあおりで買い通貨がないから」、「ドルが上昇するのは他通貨に売り材料が出たとき」――。そんな声が根強いのが現状だ。

 そのため、1カ月ぶり高値をつけたドル/円も上値は限られるとの見方が大勢だ。目先的に勢いづいた買いが先行する可能性はあるものの、現在の水準から上値には、戻り売りの出やすいポイントとなるテクニカル上のふし目が相次ぐ。1)昨年11月高値から12月につけた13年ぶり安値の半値戻しの93円後半、2)昨年11月安値にあたる94円台、3)心理的なふし目の95円、といった具合だ。

 円高の長期化で売りを手控えていた輸出企業など、実需筋の売り圧力の再燃を予想する声もある。「もう一段の上昇があっても、オーバーシュートを含めて戻りは96円程度がいいところではないか」(さらに別の外銀)。市場では、そんな声が早くも上がっている。

 (ロイター日本語ニュース 編集:橋本浩)

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