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円安・株安が同時進行、「悪い円安」の声も

 [東京 20日 ロイター] 円安が進行する中で、株安もジワジワと進んでいる。円安を好感した輸出株買いがこれまでのように出てこない上に、株安を起点にしたリスク回避の円買い基調も下火になってきたためで、市場の一部では「悪い円安」との声も出始めた。

 2月20日、市場の一部では「悪い円安」との声も出始めた。写真は1万円紙幣。昨年10月撮影(2009年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 <海外勢の売り続く>

 20日の株式市場で、日経平均は反落。19日の米国株市場でダウが6年ぶりの安値となったことを受けて、主力株を中心に売りが先行した。ドル/円は94円台前半と円安に振れたものの「政局など踏まえれば、良い円安と受け取ることはできず、買い材料になっていない」(東洋証券・シニアストラテジストの児玉克彦氏)という。

 売りの主体は引き続き海外勢で「グローバルアセットの見直しに伴う売りや、解約売りが断続的に出ている。海外勢の日本株売りが円安/株安を誘発している面もある」(準大手証券トレーダー)とみられている。

 日興コーディアル証券・シニアストラテジストの河田剛氏は「外為市場で円安に振れても反応しなくなってきていることも懸念される。10―12月期GDPを受けた円安は、悪い円売りではないか」と指摘する。

 <PERが70─80倍に上昇>

 第一生命経済研究所・主席エコノミストの嶌峰義清氏は「日本は金融面でのダメージは少ないが、10─12月期の実質GDPが2けたのマイナスとなるなど実体経済は世界でも最悪といってよい状況だ。政局不安も投資家の日本株投資意欲を一段と弱めている。株価水準は一時、主要市場の中でも割安感があったが、足元では逆に割高となっている。株価収益率(PER)は70─80倍と他市場と比較して極端に高い」と指摘する。

 ある証券系調査機関のストラテジストは「市場がPERの拡大を許容するためには、先行きに希望を感じさせるような業界再編や生産設備の廃棄など企業側の大胆な施策が求められる」と話している。

 <ドルは対ユーロ下落、対円で上昇>

 外為市場では、前日欧米市場でドル/円が94.47円まで上昇し、東京市場でも94円前半での推移が継続している。ある都銀関係者は「市場の雰囲気がかなりドル高/円安に傾いてきた。上昇ピッチが速いので戻り売りも出やすいが、目先的には95円程度までの円安はあり得る」と話す。

 前日欧米市場では、ドルは対ユーロで下落したが、対円では上昇するというねじれた現象がみられた。複数の市場筋によると、ドイツのメルケル首相は19日、危機が深刻化している東欧新興国への支援について「用意がある」と国際通貨基金(IMF)を通じた支援に言及。前日海外の為替市場では、ユーロやポーランドズロチなど欧州通貨の買い戻しが先行した。

 また、ゴールドマン・サックス証券が19日、顧客向けのリポートでユーロ/ドル=>を買い推奨したことも、ユーロ上昇の一因になったという。

 <ポジションの傾き・リパトリ・機関投資家の外貨買い、円売り要因目白押し>

 円が売られていることについて、信金中央金庫・証券業務部営業グループ次長の加藤純氏は、円高進行を想定していた向きのポジションが機能しなくなり、ポジション整理の円売りが出ていると指摘する。「短期的に80円割れを想定した参加者が、海外勢を中心に少なからずいた。しかし、実際には円高は87円割れを目前に進まず、これに期末のリパトリエーション(資金の本国還流)が加わってドル買いが勢いを増している」と説明する。

 また、加藤氏は「国内機関投資家の外貨資産積み増しによるドルなどの外貨買い/円売りも出て、ドルが対円で上昇している」と指摘。さらに加藤氏は「中川前財務・金融担当相の辞任に代表される日本の政治の混乱や、大幅なGDPマイナスが示した日本経済の構造変化の遅れに対しても、外為市場関係者の間で懸念が広がり始めている」と指摘した。

 <円金利は超長期ゾーンが上昇>

 円債市場でも「円安なのに日経平均が下げていることに、気持ち悪さを感じている向きもいる」(国内証券)との見方が出ている。国債先物が前日比で小幅安となっている中、国債現物市場では、短期ゾーン(の利回り)が小幅低下する一方、長期/超長期ゾーンが上昇した。

 短期ゾーンは、19日の日銀金融政策決定会合で短国買い入れオペの増額が示されなかったことから、過度の期待感がはく落したが「日銀の金利低下を促すスタンスに変化はないと判断した参加者が、買っていた」(外資系証券)という。超長期ゾーンについては、来週の20年利付国債入札絡みの調整売りとスワップでの払いの圧力が強まっているとの見方が出ている。

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦)

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