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金融市場に政局リスク、日本株は年金買いに依存

 [東京 4日 ロイター] 金融市場では政局リスクが意識され始めた。麻生内閣の支持率低迷を背景に次期総選挙で政権交代の観測が強まるなか、民主党の小沢一郎代表の公設秘書が逮捕された。

 3月4日、金融市場では政局リスクが意識され始めた。写真は衆院本会議での麻生首相ら(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

 政府・与党による株価対策への期待も薄れつつあり、今後の経済政策運営への懸念が広がり、株売り/円売りにつながった。

 日経平均株価は中国の景気対策の拡大という外部要因で7000円割れを回避したが、公的年金の買いに依存する構図は変わっていない。

 <政局リスクで株売り、中国効果で日経平均は7000円台維持>

 小沢代表は4日午前、記者会見し、政治資金規正法違反容疑で公設第1秘書が逮捕されたことに関連して「何らやましいこともないし、私の秘書の行った行為は政治資金規正法に則って適法にきちんと処理し、届け出た。そして、公にされていること」と述べた。自身の進退については「それによってどうこうということは考えていない」と述べ、辞任を否定した。

 日興コーディアル証券シニアストラテジストの河田剛氏は、今後、代表交代の事態に発展すれば、総選挙の争点とみられる消費税引き上げに関して自民党との違いが表れず、さらに政局が不透明化することは避けられないとして、株売りにつながるとの見方を示す。

 4日の株式市場では前場、日経平均が続落した。米国株安に加え、こうした国内政治の混迷を嫌気した売りが先行した。為替はドル/円が98円台半ばまで円安に振れたが、2月北米自動車販売が大きく減少するなど海外需要が下げ止まらないことが懸念され、買い材料につながらなかった。

 「海外勢の売りが続く半面、公的年金の買いが恒常的に入り下値を支えている。延命相場の様相だ」(国内証券)との声が出ている。実際、きょうの取引で公的年金の買いは前場150億円、後場300億円とみられている。ある邦銀筋は「年金の買いはこのところ1日計500億円ペース」としており、引き続きみられる欧州系年金筋やヘッジファンドによる売りが年金の買いとほぼ同じような規模のため、日経平均は小幅高にとどまっていると指摘する。

 7000円割れが意識されるなかで、この日は、中国当局者が景気対策増額に言及し上海総合株価指数が上昇。アジア株やGLOBEX(シカゴの24時間金融先物取引システム)の米株先物が高く、後場に入って日経平均はプラス圏に切り返した。ある株式トレーダーは「主力株は弱いが、建機など中国関連に買い戻しが入っており、小幅ながら相場を押し上げた」とみている。また、アジア勢による日本株買い/外国株売りの動きもあったようだ。

 参院本会議はきょう午前、銀行等保有株式取得機構の買い取りを再開させる法案を可決、成立したが、銀行などが含み損状態の株式を売却するのか疑問の声も多い。すでに日銀は2月23日に再開した銀行保有株の買い取りについて、2月28日時点で実績はなかったと発表している。含み損状態の株式売却が進まないことを示している。「市場から直接、株買い取りを行うには法案改正が必要だが3月末まで時間が乏しく期待薄だ」(SMBCフレンド証券シニアストラテジストの松野利彦氏)との声もある。

 麻生首相は3日の参院財政金融委員会で、公的資金を活用した株価下支え措置など株価

対策の必要性を問われ、「よほどのことがない限り、安易に(株価対策を)やるべきではない。極めて保守的、慎重でなければならない」と述べた。ちばぎんアセットマネジメント専務の安藤富士男氏は「政府・与党の姿勢がトーンダウンしていることが市場に失望感を与えている。日経平均のバブル後安値が視野に入っているにもかかわらず、政策が具体化してこないということでは買いは入りにくい。海外勢の処分売りは継続しており、自然体のままでは日経平均が6000円台前半まで下げる懸念がある」という。

 <外為市場は円売り、債券市場への影響は限定的>

 外為市場でも小沢代表の公設秘書逮捕は嫌気されたようだ。朝方からドル買い/円売りが進み、一時98円後半に上昇した。株価が小幅高で推移していることや、日本の政局不安が海外勢に意識され、円が売られやすい地合いだ。ただ、米格付け会社が米銀行大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)BAC.Nを格下げするなど米金融システムに対する懸念材料が続き、ドルを買い上げるエネルギーも持続しない。市場では「小沢代表の公設秘書逮捕のニュースは、次期政権を担う人物の側近の不祥事として、円売りムードにつながっている」(証券会社)との声が出ていた。

 ドイツ証券シニア通貨ストラテジストの深谷幸司氏は「円高から円安リスクに、さらにドル堅調持続となれば、ドル円相場が95円を割り込む可能性すらも低下し、むしろ100円を試す可能性が生じている」と指摘する。

 一方、債券市場では政局への目立った反応はみられず、方向感は乏しかった。外資系証券の関係者は「小沢氏辞任なら麻生首相の求心力が増し、財政出動に伴う国債増発がテーマになりそうと頭をかすめたが、そうした売り圧力は強まっていない」と述べた。

 みずほインベスターズ証券・シニアマーケットエコノミストの落合昂二氏は「これまでは質への逃避で株価が低迷すれば債券に資金シフトするとの連想が一般的だった。しかし、最近の金融危機の状況下では必ずしもそうした発想に基づいていない。経済対策への連想が、国債の需給悪化懸念にもつながる側面があり、一方向ではないためだ」と述べ、株価の下落との相関性に否定的な見解を示している。

 (ロイター日本語ニュース 吉池 威記者 編集 橋本浩)

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