[ニューヨーク 11日 ロイター] 11日のニューヨーク外国為替市場では、高値警戒感が台頭し、ドルが幅広い通貨に対して下落した。ドル需要の増加を裏付ける新しい材料がないため、最近のドルの上昇ピッチは速すぎたとの警戒感が広まった。
大量の米国債を保有する中国が同日発表した2月の貿易統計で貿易黒字が大幅に減少したことも、米ドルの圧迫要因となった。さらにハンガリーフォリントやポーランドズロチなど新興国通貨が強含んでいることも、ドルの重しとなった。
INGキャピタル・マーケッツの外為トレーディング・ディレクター、ジョン・マッカーシー氏は「景気の回復を示す経済統計が発表されない限り、様子見気分から脱却できず、レンジ内での取引となるだろう」と述べた。
ロイターデータによると、ニューヨーク市場午後終盤の取引で、ユーロ/ドルは1.4%高の1.2848ドル。一時は1.2864ドルまで上昇し、2週間ぶりの高値を更新した。ドル/円は1.5%安の97.23円。
年初からユーロは対ドルで8.8%下落、ドルは対円で7.7%上昇している。
調査会社ブラック・スワン・キャピタル社長のジョン・クルックス氏は、ユーロの上昇の背景には、株価上昇に加え「軟調な債券価格と、世界需要回復の兆候がないにも関わらず原油価格が1バレル=40ドル半ばまで戻したこと」があると指摘し、ユーロの上昇はある程度続く可能性があると述べた。
ドル/スイスフランは0.4%安の1.1564スイスフラン。米ドルは豪ドルとニュージーランドドルに対しても下落し、豪ドル/米ドルは0.6510米ドル、NZドル/米ドルは0.5070米ドルとなった。
中国の貿易黒字急減についてGFTの外為調査部門を率いるボリス・ショロスバーグ氏は「懸念されるのは、中国が米国債投資に振り向けられる大量の外貨資金を稼ぎ出すことができなくなる可能性があることだ。それがドル相場にのしかかる今後の懸念材料だ」と述べた。
ポンド/ドルは一時6週間ぶりの安値となる1.3658ドルをつけた後、午後終盤の取引では約1%高の1.3880ドルまで回復。ユーロ/ポンドは0.4%高の92.54ペンス。
ドルは対ポーランドズロチで1.8%、対ハンガリーフォリントで約2%、それぞれ下落した。