[ニューヨーク 30日 ロイター] 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は30日、米自動車メーカー3社(ビッグスリー)の破たんリスクは依然高いとの見方を示した。
S&Pの自動車アナリスト、ロバート・シュルツ氏はインタビューで、米ゼネラル・モーターズ(GM)GM.Nのワゴナー最高経営責任者(CEO)退任後もビッグスリーの破たんリスクは依然高いとの考えを示した。
オバマ米政権の自動車作業部会は、GMが求めていた融資を行う代わりに、今後60日分の運転資金だけを拠出する方針を示し、GMに対し、新たな経営陣の下でさらに大規模な再建計画を策定するよう求めた。
これについてS&Pは、ディストレス債とみなされる水準での債務交換が進む可能性が高いとの見方を示した。
シュルツ氏は「業界の現状を踏まえると、こうした前代未聞の措置は未曾有の時代背景と一致している」とし「フォード・GM・クライスラーの破たんリスクは依然高いと考えている」と述べた。
GMとGM系金融会社GMACの債務保証コストが上昇。ディストレス水準が一段と高まり、債務不履行または破産の可能性をめぐる懸念が強まっていることが浮き彫りとなった。
シュルツ氏は「前例のない結果となる可能性はある」と指摘。「大きな変化は60日間期限が延長されたことだ」と述べた。
フェニックス・パートナーズ・グループによると。GMの5年物CDSのアップフロント支払いの保証コストは27日時点の77%から79.5%に上昇。これに年間で500ベーシスポイント(bp)の支払いが加わる。
GMACのCDSは27.5%から31%へ上昇した。
CDSスプレッド1bpは、債務1000万ドルに対する保証料1000ドルに相当する。
KDPインベストメント・アドバイザーズによると、GM債(表面利率8.375%、2033年償還)は0.04ドル安の額面1ドルあたり0.15ドル。
S&Pは現在、ビッグスリーの格付けをCCとしている。
シュルツ氏は「3社ともディストレス債とみなされる水準での債務交換を見込んでいる」とし、そうなれば「SD(セレクティブ・デフォルト=選択的債務不履行)」へ格下げとなると述べた。GMのCEO交代については「それだけではわれわれの見方は変わらない」とした。
向こう60日間に2つの選択肢を検討するとし「GMは新たな計画を提出し、その計画を自動車作業部会が十分とみなすか否かだ。後者の場合、破産の可能性がある」と述べた。