[ワシントン 15日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)が15日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は、経済が3月から4月初旬にかけて引き続き弱まったものの、収縮のペースは鈍化しており、リセッション(景気後退)が終わりに近づいている可能性を示す兆候が散在的に見られるとした。
「12地区中5地区が減速ペースの減速を報告した。複数の分野で経済活動が低水準で安定化しつつある兆しが一部の地区で見られる」と指摘した。
4月6日までの情報を基にダラス地区連銀が報告をまとめた。
BMOキャピタル・マーケッツのエコノミスト、ジェニファー・リー氏は「今回の報告は全米で経済活動の悪化が薄れつつあることを示しており好ましい。もちろん状況は依然悪いが、前と比較してそれほど悪くないということだ」と語った。
報告では「住宅市場は引き続き全般的に落ち込んでいるが、状況が安定しつつある可能性を示す兆候が一部見られる。住宅セクターをめぐる見通しは総じて以前の調査と比較して一段と楽観的で、購買者の関心の高まりが販売好転につながると回答者は期待している」とした。
一方、経済の暗い部分として、とりわけ労働市場が弱いと指摘。金融危機で打撃を受けたウォール街などを管轄するニューヨーク連銀は、利用可能な労働者の供給状況について「尽きることがない」と指摘。「2008年の大卒生の多くがいまだに職を求めるなか、足元09年の大卒生が労働市場に参入しつつある」とした。
経済的な緩みの結果、各地区とも物価面での下落圧力が存在するとし、小売業者による大幅な値引きなどがみられるとした。
消費支出は依然軟調だが、一部地区では以前の落ち込みと比較して上向いており、高額・高級商品の売り上げが減少するなか、食料や生活必需品は比較的良好とした。
製造業は大半の地区で全般的に引き続き弱まっており、フィラデルフィア地区連銀は「同セクターの一部企業は、自動車・住宅関連の需要が『弱い(weak)』から『ひどい(horrible)』の範囲にとどまっていると指摘した」と述べた。