[東京 17日 ロイター] 三菱UFJフィナンシャル・グループ8306.T傘下の三菱UFJ証券は17日、顧客情報の流出について会見し、秋草史幸社長は、顧客情報が元社員によって名簿業者に売却されたことで法人部門で売買の発注停止などの影響がでていると述べた。
また、リテール業務でも同社の証券口座を閉鎖し他社への移管を希望する顧客がでているため「業績が大きな打撃を受けるのは間違いない」との認識を示した。
三菱UFJ証券は4月8日、同社のシステム部元社員が148万6651人分の顧客情報を不正に持ち出し、このうち顧客4万9159人分の情報を名簿業者3社に売却したと発表していた。
三菱UFJ証券は当初、名簿を入手した業者3社が、その名簿を転売した先は13社と公表していたが、その後の調査で14社だったことが判明。さらに、これら転売先の業者が顧客情報のサンプルを作り、それを販売していた先が15社あった。
同時に、三菱UFJ証券の顧客からのクレームで、顧客情報が漏れた可能性のある業者が50社程度あることが判明し、顧客情報を入手した業者の数は、累計で79社にのぼることがわかったという。
三菱UFJ証券は、顧客情報を入手した名簿業者に対し、弁護士名で確認書を送り、情報の利用を止めるよう求めているが、業者からは確認書に対する返事は1社からも届いていないという。確認書には、顧客情報の使用禁止を差し止める法的な根拠がないとしている。
情報流出の被害者となった三菱UFJ証券の顧客は、投資用マンションなど不動産や先物業者などから夜遅くに電話勧誘を受けている。なかには「頻繁な電話で中にはノイローゼになった顧客もいる」(前田孝治常務)という。
三菱UFJ証券は14日付で秋草社長を本部長とする対策本部を設置、弁護士や情報管理の専門家から提言を受けることになった。責任者の処分について秋草社長は「どういう関門を潜り抜けてこうなったかまず調査し、事実を確定して対策を講じたい」と述べるにとどめた。
(ロイターニュース 江本 恵美記者)