for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

安全資産に市場心理傾く、米金融機関の健全性に疑問符

 [東京 21日 ロイター] 米金融機関の健全性に対する不透明感があらためて意識され、リスク資産への投資意欲が低下している。東京市場では日経平均が大きく下げた一方で、国債増発による需給懸念を消化する形で債券が買われた。

 4月21日、米金融機関の健全性に対する不透明感があらためて意識され、リスク資産への投資意欲が低下している。写真は都内の株価ボード。1月撮影(2009年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 いったん安全資産に資金を動かしておこうとの市場心理が働いている、という。為替市場でもリスク回避の動きから、低金利のドルと円が買い戻された。

 <株式の調整期間、見方に濃淡>

 株式市場では日経平均が反落し、下げ幅は一時300円を超えている。バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)BAC.Nの四半期決算で不良債権が拡大したことをきっかけに、米金融セクターに対する懸念が再燃した。これを受けて米国株が大幅安となったことや、円高などを嫌気して幅広い銘柄に売りが先行した。

 投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー(VIX)指数は19日に昨年9月のリーマンショック以前の水準まで低下していたが20日には一転15.4%上昇し、1月20日以来の大幅な上昇率を記録。不安心理の高まりを示している。「米金融機関の決算は表面上いいが、不良債権が増加していることが懸念されている。信頼性が高くないメディアがストレステストの見通しに言及したことも不安をあおった。金融セクターへの懸念はしばらく続くのではないか」(日興コーディアル証券シニアストラテジストの河田剛氏)との声が出ている。

 これから米国では主要企業の決算が相次ぐ。今週末以降は国内の3月期決算発表も本格化する。「投資家の視線が実体経済に向き始めているのは事実であり、市場は企業の投資抑制や金融機関の不良債権に敏感に反応している。投資家の様子見ムードは続きそうだ」(SMBCフレンド証券投資情報部部長の中西文行氏)とみられている。

 大和住銀投信投資顧問チーフストラテジストの門司総一郎氏は「今回の日米株の上昇が企業業績やファンダメンタルズの回復に見合うものであるかどうかは疑問だ。米金融機関の1─3月期決算はそろって改善したが、会計基準の緩和などで実態を映していない部分もあるだろう。株価の調整は当面続く公算が大きい」と指摘している。

 一方、野村証券ストラテジストの芳賀沼千里氏は、調整期間は長引かず、夏場にかけて一段高の局面が到来する可能性が大きいと予想している。「1つは世界的な景気悪化がそれほど深く長く続くわけではなさそうだとの見方が広がるとみるためだ。企業業績の下方修正が多く出ているが、一方でコスト削減が想定以上に進み、上方修正になるケースも出ている」という。

 さらに「景気は確かに悪化しているが、企業の想定範囲内での悪化に収まってきた。また、クレジット市場での発行が増えるなどリスクマネーが動き出している。広い投資家が市場に入ってきているわけではないが、皆が買えばそれは上昇相場の終わりを意味するといえ、今はチャンスととらえるべきだろう」と話している。

 <円債、増発懸念よりも安全志向>

 円債市場では、株安を背景にこれまでの売り持ちが解消され、国債先物は一時節目の137円に乗せた。国債利回りは軒並み下がった。

 外資系証券のストラテジストは「これまでのリスク許容度の回復トレンドに修正が入り、先物が買われた。2009年度補正に伴う国債増発規模が報じられ、需給不安はひとまず棚上げされた面もある」と話した。市場では「2009年度補正予算に伴う国債発行額が明らかになり、実際に増額されるまでの間、キャリーで稼げればとの思惑が先行するかたちで買いが入りやすい」(邦銀の運用担当者)との見方も出ている。

 国債先物の買い戻しに加え、先物買い/超長期売りのオペレーションが持ち込まれ、イールドカーブにはややスティープニング圧力がかかった。

 クレディスイス証券・債券調査部長の河野研郎氏は「ふたたび円高/株安が進行した場合、30日の日銀金融政策決定会合での政策変更への期待が高まりそう。3月下旬から進んできた発行増額懸念は後退し、とくに金融政策変更への期待から中短期セクターへの金利低下圧力がかかるだろう」と展望する。

 <ドルと円に買い戻し> 

 為替市場では、世界的に株価が大幅安となり、投資家のリスク許容度が低下するとの思惑から、ドルと円がともに買い戻された。その結果、東京時間でドル/円は一時97.73円まで下落したが、利食いの円売りも出て、その後98.35円まで反発するなど、比較的落ち着いた値動きとなっている。

 一方、クロス円は、基本的に株安がクロス円の売りを誘うという流れが続いてきたが、この日は、株安にもかかわらず、全般的にクロス円が反発する局面も現れるなど、パターンを逸脱する動きもみられた。クロス円の売買参加者については「基本的に海外のシステム系やモデル系といわれるファンド勢の動きが主体。トレーディング・スタイルは、下がると売る、上がると買うというものだ。ファンダメンタルズで説明するのは至難の業」(運用会社ファンドマネージャー)との指摘もある。

 豪ドル/円は、朝方、仕組み債に関連する豪ドルの投げ売りニーズがあったとされ、午前9時前に一時68.10円付近まで下落した。その後は下げ止まり、68円後半まで切り返した。ユーロ/円も乱高下し、一時1カ月ぶりの安値となる126.10円まで下落したが、仲値後に127.35円まで急反発した。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者;編集 宮崎 大)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up