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豚インフル拡大で関連通貨売られる、株式では材料株物色

 [東京 27日 ロイター] 豚インフルエンザ感染被害の広がりを受けて、金融市場でも動きがみられた。為替市場では、被害の大きいメキシコペソが3%近く下落したほか、感染の疑い例が報じられた国、地域の通貨が売られた。

 4月27日、豚インフル拡大で関連通貨売られる。写真は成田空港。25日撮影(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

 株式市場では、関連株などの材料株が個別に物色される動きが出たものの、感染の広がり自体は世界経済にマイナスになることから、相場全体は上値が抑えられている。

 <豚インフル関連、短期資金の受け皿に>

 株式市場では日経平均が反発して始まったものの、その後、急速に伸び悩んだ。前週末の米国株高を好感したほか、大型連休を控えて買い戻しなども入り全般に底堅いが、「8800円以上では引き続き国内法人等の戻り売りで上値が重い。金融機関の巨額赤字計上などで警戒感もある。月内の決算集中を控えて実需勢は様子見ムードが強く、個人を含めた短期資金中心の商いだ」(コスモ証券エクイティ部次長の中島肇氏)という。

 立花証券執行役員、平野憲一氏は「日経平均は25日移動平均線にサポートされているが、今週中に9000円を上抜けないと、上値がだんだん重くなってくる公算が大きい。日米ともに決算があるほか、国内では3月の鉱工業生産、米国では第1・四半期GDP速報値と材料が多く、株式相場は正念場だ」という。

 こうしなかで、短期資金は豚インフルエンザ関連株などの材料株に向かった。メキシコで100人超が死亡したとみられる豚インフルエンザの人への感染は、フランスやスペイン、米国などにも広がり、世界的に流行する可能性があるとして、世界保健機関(WHO)が25日、各国に警戒を促した。これを受けてインフルエンザ感染症治療薬 「タミフル」の製造販売を手がける中外製薬4519.Tが急騰したほか、「抗ウイルス不織布」など対策製品を手がけるダイワボウ3107.T、医療用マスクの日本バイリーン3514.Tなどが関連銘柄として物色された。一方でエイチ・アイ・エス9603.Tや近畿日本ツーリスト9726.Tなど旅行会社株が売られている。「豚インフルエンザへの懸念から海外旅行需要に影響が出るとみられたようだ」(準大手証券)という。

 GLOBEX(シカゴの24時間金融先物取引システム)で米株先物は大幅安となっているが、ある国内証券関係者は「豚インフルエンザの感染者が欧米で広がってることでいったんアジアに資金をシフトしようという動きが出ている可能性もある。銀行や証券など金融セクターは再編期待もあるが海外からの買いが入っているもようだ」とみている。野村証券エクイティ・マーケットアナリストの佐藤雅彦氏は「米系マネーの買いが観測されている。リスク許容度の上昇による物色の一環だろう」とし、豚インフルエンザの感染拡大とは直接関連付けていない。

 ただ、ある都銀筋は「短期資金の動きに過ぎないだろう。豚インフルエンザの急速な広がりは、やはり世界経済にとってマイナス。貿易で恩恵を受ける日本にとってもいい話ではない」と話している。

 <為替市場、株価の反応を注視>

 為替市場ではアジア時間早朝の取引で、メキシコペソが3%近く下落。豚インフルエンザの感染者の疑いが報じられたフランスやスペインを含むユーロ、ニュージーランドドルも売られた。豚インフルエンザの広がりはまだ不透明な部分が多いものの「影響が広がった鳥インフルエンザの直後とあって、懸念が強まりやすい」(都銀)という。

 米株先物の下げが、アジア時間の値動きを助長したとする声もある。週明けの日経平均は底堅い動きとなったものの、日本時間午前に米ダウ工業株先物は7931ドルまで下げ幅を拡大。前週末ニューヨーク市場の終値から145ドルの下げとなったことで、リスク回避のドル買いや円買いが強まりやすかったとの見方だ。「前週から続いてきたドル売りの調整的な色彩」(同じ都銀)による買い戻しを指摘する声もあったが、メキシコペソやユーロ、NZドルなどが売られる一方でドルと円には買いが強まった。

 ユーロ/円は前週末NY市場終盤の128.60円からきょう正午までに127.57円まで下落。NZドル/円も朝方の55円後半から54円半ばまで売られた。クロス円で円買いが強まったことを受けて、他通貨に対して上昇していたドルも対円では下落。ドル/円は一時96.62円をつけて、3月30日以来、1カ月ぶり安値をつけた。今週は米クライスラー[CBS.UL]再建計画の行方など注目イベントが多く、「最終的には世界の株価次第という雰囲気がまだ残っている。株安でクロス円がもう一段軟化するようなら、ドル/円には売りバイアスがかかりやすくなる」(別の都銀)という。

 <国債先物に売り圧力>

 一方、円債市場では国債先物への売り圧力が強まり、中心限月6月限は一時、前週末比50銭安に急接近した。債券市場では、2007年の労働協約修正や退職者向け医療保険基金をめぐり、全米自動車労組(UAW)が米クライスラー、伊フィアットFIA.MI、米政府と合意に達したことに注目が集まった。

 複数の市場参加者によると、債券相場の下落を主導したのは国債先物への売り圧力だ。RBS証券・シニアストラテジストの市川達夫氏は「合意に伴い破たんは避けられそうだとする思惑が働き、株買い/債券売りのフローが入った可能性もある」と指摘する。 一部参加者からは「財政出動にからむ思惑が複雑に絡み、海外ファンドからの売りが出た」(外資系証券)との声も聞かれた。

 財務省は昨年12月に策定した2009年度国債発行計画を見直し、カレンダーベースの市中発行額を当初計画の113兆3000億円から130兆2000億円に増額した。経済危機対策に伴う新規財源債と財投債を合わせた追加の国債発行額の大半を市中で消化することになり、カレンダーベース市中発行額はピークだった05年度の118兆3000億円を突破し、過去最高の水準に達する。

 トヨタアセットマネジメント・チーフファンドマネージャーの深代潤氏は「需給悪化に関しては、おそらくこれで終わりということはない。税収の下ブレはほぼ間違いなく、需給懸念は今年の長いテーマとなりそう」と話した。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者;編集 村山圭一郎)

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