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新型インフル国内感染拡大:識者はこうみる

 [東京 18日 ロイター] 新型インフルエンザの国内感染拡大が個人消費や企業活動への制約要因として、徐々に市場に影響を与え始めている。市場関係者のコメントは以下の通り。

 5月18日、新型インフルエンザの国内感染拡大が徐々に市場に影響を与え始めている。写真は都内。17日撮影(2009年 ロイター/Toru Hanai)

 ●経済活動にいったんブレーキも

 <三井住友アセットマネジメント・チーフエコノミスト 宅森昭吉氏>

 新型インフルエンザの感染が、大阪・神戸を中心に広がっている。過度に神経質になる必要はないが、経済活動にいったんブレーキがかかるマイナスの影響が考えられる。観光、飲食、スポーツ観戦を含めた大勢の人が集まるイベントなどには打撃。だが、マスクやワクチンなど需要が高まっている分野も一部にはある。

 経済全体への影響は、今後の政府・自治体の対応によって異なってくる。従来どおり感染の封じ込めに動くか、あるいは弱毒性ということでいずれかの時点で通常のインフルエンザ対策に切り替えるのかを注目している。

 ●政府によるガイドライン次第で経済的影響に広がり

 <大和住銀投信投資顧問 チーフエコノミスト 大中道康浩氏>

 政府がどの程度のガイドラインを出してくるかにより、経済的影響も異なってくるだろう。たとえばWHO(世界保健機関)がフェーズ6に引き上げ、かつ国内(感染)発生の場合に、厚生労働省の試算では就労者の4割が、1週間から10日間程度、欠勤や自宅待機となる状況もありえるとシュミレーションしているようだ。そうなれば国内経済活動への影響は大きいだろう。

 世界的には、米国でのガイドラインの影響が大きいと思われるが、今のところ米国では大規模な規制や影響が出ていない模様。弱毒性ということで規制は緩いものにとどまっているとみられるが、規制を強めれば経済活動への影響もあり、なかなか難しい問題だろう。また世界の生産工場となっているアジアでも現在のところさほど大きな規制は聞かれない。今後の警戒レベルの引き上げや各国政府のガイドラインの出し方を注目すべきだろう。

 金融市場では、株価がこれほど上がっていたことを考えると、まずファーストリアクションという意味では売りから入るのが常道だろう。今後の展開は、経済状況と政府のガイドラインがでるか次第。

 ●極端な経済活動停止には至らない

 <住友商事総合研究所・チーフエコノミスト 奥田壮一氏>

 新型インフルエンザの感染が、大阪・神戸を中心に広がっている。鳥インフルエンザに由来する新型インフルエンザを想定し、危機対応マニュアルが作成されてきたため、今回もそれに沿って一部適応されてきた。だが、今回の新型インフルエンザは弱毒性で、鳥由来のインフルエンザに比べ死に至る率がそれほど高くない。その意味ではマニュアルの運用の仕方次第となってくるだろう。

 今回はあくまで弱毒性で、厳密に人や物の移動制限を加えることが必要にならない、というような判断の下され方もあり得ると思われるため、極端に経済活動が停止する事態にはならないとみている。だが、マニュアルとは別に行動の自粛が想定され、これに伴う影響は長く続くと思われる。

 今年の冬以降に鳥インフルエンザからの由来も含め新型インフルエンザが再び広がり、パンデミックリスクにつながることも想定されるため、それまでに政府や自治体、企業のマニュアルの整備が求められる。

●毒性弱く経済に甚大な悪影響与える可能性低い

<野村証券金融経済研究所 チーフエコノミスト 木内登英氏>

 新型インフルエンザ問題は、懸念されていた日本国内での感染者急増を受けて新たな局面に入ってきた。今後は近畿地方以外にも感染者は広がりを見せる可能性は十分に考えられる。日本での感染拡大は、WHO(世界保健機関)による新型インフルエンザの警戒水準(フェーズ)の引き上げ判断に大きな影響を与える可能性がある。この点から今後の日本での動向は世界経済や金融市場に対して潜在的に大きな影響力を持つ可能性があり、まさに世界が注目するところとなっている。 

 しかし、新型インフルエンザ問題が日本経済に甚大な悪影響を与える可能性は低いという、従来からのわれわれの判断には変化はない。当社の成長率見通しに反映させる段階ではいまだないと考えている。

 世界的に蔓延(まんえん)した感染病に関する過去の経験に照らせば、経済に大きな影響を与えるのは、工場休業などの供給側の要因ではなく、個人の消費活動が鈍るなどの需要側の要因の方が大きい。さらに個人の消費活動に大きな影響を与えるのは、感染病の感染力の大きさよりも死亡あるいは重篤への恐怖心である。今回の新型インフルエンザは、感染力は強いが毒性が弱く死亡率が低いのが特徴である。毒性および死亡率が大きく高まるようなウィルスの変化が今後生じない限り、感染が広がっても実体経済に甚大な悪影響が及ぶ可能性は比較的限られると見ておきたい。 

 新型インフルエンザに対する各国の抵抗力を表す指数を当社は独自に作成している。これは、国内総生産(GDP)に占める医療費の比率、あるいは1人当たりの比率、病院のベッド数の人口比、平均寿命、サービスの比率、GDPに占める輸出の比率、人口密度の7つの指数を用いた作成されたものである。これによれば、94カ国中で最も影響を受けにくいのが米国、次が日本である。

 外出や集会の自粛要請、事業活動の縮小要請など、行政が過剰に反応することで新型インフルエンザ問題が実体経済に与える影響が増幅されるリスクには注意を払っておく必要はあるだろう。しかし現時点では、政府も国民に冷静な対応を呼びかけており、政府の対応が過剰にならないように配慮しているもようである。

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