[東京 18日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスが日本政府の債務格付けを統一したことについて、市場では、技術的な側面が強く直ちに相場への影響はない、との声が出ている。
ムーディーズは今回、日本の自国通貨建て債務格付けをAa3からAa2に引き上げる一方、外貨建て債務格付けをAaaからAa2に引き下げ、債務格付けをAa2に統一した。
ムーディーズはこれまで「日本は自国通貨建て債務よりも、外貨建て債務の履行を優先する」として外貨建て債務格付けを優位にみていたが、今回、「最近の世界的な金融危機の中で、さまざまな政府の支払いの優先順位を予測することは極めて困難」との判断に変えた、としている。
金融市場の受け止め方は冷静。自国通貨建て債務格付けが引き上げられたものの、円債市場では買い材料になるとの見方は少ない。トヨタアセットマネジメント、チーフファンドマネージャーの深代潤氏は「国内で円建て国債を消化するという観点からすればプラスの要因ではある」としながらも、「今回の格付けの変更が実質的に何か大きな意味を持つとは考えづらく、マーケットとしてもどう消化すればいいのかよくわからない」と述べる。
RBS証券チーフエコノミストの西岡純子氏は「(通貨で)異なった債務格付けを統一するための技術的な措置のようで、基本的な見解に変化があるとは思わない」という。西岡氏は日本国債を取り巻く状況は引き続き悪い、とみている。
相場の動きも限定的だった。ドル/円相場は95円レベルから発表後に94.80円まで下げたが、16時20分現在、95円台前半に戻している。「市場が予想していたような(自国通貨建て債務の)格下げではなかったことからドル/円などに手仕舞い売りが出ているが、インパクトは限定的。相場のトレンドには影響していない」(三菱東京UFJ銀行、為替グループ調査役の西井謙一氏)という。国債市場でも、10年債の利回りは1.4%近辺で変わらず。夜間取引で先物市場も横ばい圏。