for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

FRB、イールドカーブのスティープ化でジレンマに陥る可能性

 [ニューヨーク 20日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)にとっては、今のところイールドカーブのスティープ化と住宅ローン金利の低下という2つの望ましい状態が保たれている。しかしこうした状態は長続きしないとの見方もある。

 5月20日、FRBはイールドカーブのスティープ化でジレンマに陥る可能性も。写真はバーナンキFRB議長。昨年11月撮影(2009年 ロイター/Molly Riley)

 3月以降、長期国債の利回りが上昇を続ける一方、短期債の利回りは低水準のまま推移している。このため、銀行は低いコストで資金を調達し、高い金利で貸し出すことが可能になり、業績改善に役立っている。一方で、長期金利の上昇は今のところは長期住宅ローン金利に大きく影響していないため、住宅購入者にとっても良好な状態は保たれている。

 4キャストのシニア・アナリスト、ルディー・ナーバス氏は「住宅ローン金利が過去最低水準近辺で推移し続け、イールドカーブがスティープ化した状態が保たれている限り、銀行にもFRBにも都合が良い」とし「現時点ではFRBにとり、住宅ローン金利とイールドカーブの両方の面で望ましい状態となっているようにみえる」と述べた。

 しかし、こうした良好な状態は長続きせず、FRBは解決が難しい問題に直面する可能性がある。

 経済が回復し続ければ、長期金利が上昇を続ける可能性がある。長期金利の上昇は、財務省証券の買い入れを通してFRBが実施している借り入れコスト低減の努力に水を差す可能性がある。しかし、FRBが介入して長期金利を低下させれば、短期金利と長期金利の差で収益を稼いでいる銀行に痛手を与えることになる。

 アクション・エコノミクスの世界市場ストラテジスト、マイケル・ワレス氏は「2つの異なる方向に力が働くため、これは当然ジレンマとなる」と述べた。

 <利回りの上昇>

 景気回復期待からリスクがより高い株式市場などに資金が流れ、過去数週間、長期国債価格が下落、利回りは上昇する結果となっている。政府の国債の大量発行に対する懸念もまた、長期国債価格下落に作用している。一方で、短期国債相場は昨年12月以来、比較的安定的に推移している。

 イールドカーブ、つまり2年物国債と10年物国債の利回りの差は、20日、約239ベーシス・ポイント(bp)と、昨年11月半ば以来の幅に拡大した。

 イールドカーブのスティープ化は、金融危機で傷ついた財務体質を立て直すために、銀行にとり非常に重要だ。しかしイールドカーブのスティープ化は一方で、住宅ローン金利の上昇という副作用ももたらす。

 <FRBの選択>

 最近の長期金利の上昇にもかかわらず、住宅ローン金利が急激に上昇していないため、FRBは今のところジレンマには直面していない。

 FRBは金利を低水準に保つため、総額3000億ドルの国債買い入れを計画。このうち1150億ドル分をすでに買い入れた。しかし、FRBが今後も金利を低水準に抑えたい場合、買い入れ総額を引き上げる必要があるとの見方も出ている。実際、FRBが20日に公開した4月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録によると、政府証券と米政府機関モーゲージ債(MBS)の買い入れ額の増額が検討されていた。

 ウィリアムズ・キャピタル・グループのフィクストインカム部門を率いるデビッド・コード氏は「FRBが財務省証券の買い入れプログラムを続行していることは、FRBが長期金利について真剣に考えていることを意味している」と述べた。

 米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)FRE.NFRE.Pによると、14日までの1週間の米住宅ローン金利(期間30年)は上昇はしたものの、過去2カ月間に2度つけた過去最低の4.78%よりも若干高い水準にとどまった。

 ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ドミニク・ウィルソン氏は顧客へのリサーチノートで「住宅ローン金利が米国債利回りの上昇による影響を吸収するには限界があると思われる」と述べた。そのうえで、借り入れコストをめぐる状況は2007年と比べても依然として悪い状態にあると指摘。「金利の上昇はいずれ政策課題として浮上する」と警告した。

 一部のアナリストからは、FRBは住宅ローン金利を低水準に抑えることを優先するとの見方がでている。MFグローバルのフィクストインカム担当シニア・バイスプレジデント、ドン・ガランテ氏は「懸念が深まる可能性はあるが、FRBが解決のないジレンマに陥るとは思えない。住宅ローン金利を低く抑えることは、多くの人にメリットがあるからだ」と述べた。

 (Chris Reese記者;翻訳 広神綾子;編集 宮崎 大)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up