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GM破たんの行方に冷静な日本勢、シェア拡大好機の見方も

 [東京 27日 ロイター] 米ゼネラル・モーターズ(GM)GM.Nの再建問題が大詰めを迎える中、日本の自動車メーカーはその行方を冷静に見守っている。

 5月27日、GM破たんの行方を日本メーカーは冷静に見守っている。写真は都内のショールーム。昨年11月撮影(2009年 ロイター)

 GMが連邦破産法11条を申請した場合、米経済が打撃を受けるのは避けられそうにないが、最も懸念していた現地生産や販売網の混乱に対しては、すでに各社とも準備を整えているためだ。経済が回復局面に迎えば日本勢がシェアを拡大する好機との見方もあり、マイナス材料とみられていたイベントが逆に追い風になる可能性もある。

 <クライスラー破たん時は大きな影響なし>

 GMと米政府の再建協議が大詰めを迎えるのは、これで3度目。1回目の2008年末はブッシュ政権がつなぎ融資を実行し、2回目の今年2月中旬にはオバマ政権が再建策の再提出を求めた。そのたびに破産法申請の観測が浮上し、部品調達先や販売網をGMと共有する日本の自動車メーカーは身構えた。今回の再建策提出期限は6月1日だが、債権者との債務圧縮交渉が難航しており、破たんの可能性がかつてなく強まっている。

 しかし、GMの再建問題は、最初のヤマ場を迎えてからすでに半年近くが経過し、日本勢には事前準備の時間が与えられてきた。日産自動車7201.Tのカルロス・ゴーン社長は「(日本の自動車メーカー)はみんな万一の事態に向けて備えをしている」と話す。

 ホンダ7267.Tは、GMの操業が止まった場合に影響を受けそうな部品メーカー数社を注視。供給が途切れたときに備え、部品の在庫を積み増している。また、トヨタ自動車7203.Tもホンダも主要部品の金型を買い取っており、他社に生産を委託したり、自社で生産することが可能だとしている。GM車を併売する現地の販売網に対しても日本勢は対策を進めており、富士重工業7270.Tの森郁夫社長は「金融機関から融資を受けられないディーラーが出てくる可能性があるが、当社が仲介する金融機関に乗り換えてもらうなどしている」と話す。

 米政府もこの間、GMやクライスラーに対する部品メーカーの売掛金を保証する制度の創設など、セーフティネットを築いてきた。クライスラーが4月末に連邦破産法11条を申請した際にも部品調達や販売網への影響が懸念されたが、日本のメーカーはとりわけ大きな影響を受けなかったという。

 <2010年にトヨタが米国で首位に>

 それでもGMという米国を代表する企業が破産申請をすれば、経済全体へのマイナス影響は避けられそうにない。米政府がどのような再建計画を打ち出すかにもよるが、GMには伊フィアットFIA.MIのような支援者がいないため、再建処理が順調に進むかどうか不透明だ。下請け企業の連鎖倒産を招いて失業者を増加させ、消費者心理を一段と冷え込ませるおそれがある。

 GMの社債で年金生活を送るリタイア組も少なくない。日本メーカーは今年度下期から業績が回復するシナリオを描いているものの、三菱自動車工業7211.Tの益子修社長は「米自動車メーカーの問題が精神的にも(米国経済に)影響を与える。できるだけうまい形で解決してもらいたい」と、この問題がソフトランディングしてくれることに期待感を示す。

 GMに部品などを納入する日本企業も、売掛金を回収できなくなる可能性がある。東京商工リサーチによると、GMグループと取り引きのある日本企業は114社で、うち38社が上場企業だという。デンソー6902.Tは昨年度、GM向けの売り上げが1000億円あった。

 一方、GMやクライスラーが事業を縮小することで、日本の自動車メーカーのシェアが拡大するとの見方が浮上している。米調査会社グローバル・インサイトは今月中旬、米国におけるトヨタの販売台数が2010年にGMを抜いて首位になるとの予測を出した。同社のシニアマーケットアナリスト・黒川満氏は「GMはいくつかのブランドがなくなり、その市場に穴が開く」と指摘。「とくに『サターン』ブランドは日本勢に対抗するために作り出されたもので、日本メーカーは取り込みやすい」と話す。

 GMとクライスラーがディーラーを削減する中、富士重工のような中堅メーカーにとっては、米国で販売網を拡充するチャンスでもある。同社は以前からディーラーを増やしたいと考えており「機会があれば契約を結びたい」(富士重工関係者)としている。

(ロイターニュース 久保 信博記者、金 昌蘭記者;編集 田巻 一彦)

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