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米指標改善で株高/債券安、ベアマーケットラリー抜け出せるか

 [東京 2日 ロイター] 2日の東京市場は株高、債券安。米国の経済指標が景気回復への期待感を膨らませており、世界的に株式や商品を買う流れが続いた。

 6月2日、米指標改善で東京市場は株高、債券安。写真は都内の株価ボード。1日撮影(2009年 ロイター/Toru Hanai)

 株式市場関係者の間では、単なるベアマーケットラリー(弱気相場の一時的上昇)ではない、との声も出ている。一方、10年債利回りが再び1.5%の節目に乗せた円債市場では強い買いニーズはみられず、10年債入札後の流通動向がやや警戒されている。

 <強気派VS慎重派>

 株式市場では日経平均が続伸、連日で取引時間中の年初来高値を更新している。米ゼネラル・モーターズ(GM)GM.Nの破たんを受けた1日の米国株式相場が大幅高となったことで、買い安心感が広がった。

 5月の米ISM製造業景気指数が42.8と前月の40.1から改善し、2008年9月以来の高水準をつけるなど堅調な米経済指標も好感された。「日本だけの株価回復ではなく、デリバティブ・バブル崩壊からの世界的な株価回復局面だ。『グリーン・シューツ(春の芽吹き)』と呼ばれるような景気回復の兆しも後押しとなり、株価の戻りも鋭角的となっている。もはやベアマーケットラリーとはいえないのではないか」(準大手証券ストラテジスト)との強気の声も出ている。

 ただ、最近の株高は世界景気の底入れだけが要因ではなく、金融緩和によるカネ余りを背景とした投機的な資金流入の影響が大きいとの見方もある。「先物、オプション市場の売買が活発化している。現物市場では欧州勢の買いがディフェンシブ系から景気敏感株にシフトしているが、依然買い戻しの域は出ない。ファンダメンタルズより需給相場という状況だ」(東海東京証券エクイティ部部長の倉持宏朗氏)との指摘もある。

 みずほ証券のマーケットアナリスト、高橋幸男氏は「日経平均は2008年10月の下落過程で1万円から9500円までが真空地帯となった。現状は9500円の値固めに入ったといえるが、1万円を一気に回復するとは想定しづらい」とみている。

 <債券需要を見極め>

 円債市場は軟調。米債市場で金利が上昇した流れを引き継ぎ、売りが先行。財務省の10年債入札を前にヘッジ売りや持ち高調整の現物売りも出た。金利上昇局面であり、来月以降の増発が意識される中、10年債を取り巻く状況は「決して磐石ではない」(国内金融機関)。中短期債や超長期債と違い、同ゾーンは明確な投資家需要が見えないセクターであることも、潜在的な不安につながっている。

 もっとも、今回の入札に関しては、事前調整が入っていたことや、新年度入り以降、残高を積めていない投資家の需要が見込めることなどから無難な結果を予想する声が多い。入札後のセカンダリー市場での消化状況が注目されている。

 トヨタアセットマネジメント、チーフファンドマネージャーの深代潤氏は「長期金利が1.5%台に乗ってきたが、軟調な7年ゾーンと相対的に比較すると決して安くはない水準。金利の絶対値を見ているプレイヤーからすれば買いが見込める一方で、レラティブ・プレイヤーは引いてしまっている」という。さらに「株価やコモディティが思ったよりしっかりしており、そちらの戻りを見極めたいとする向きも多いだろう。株が強いということは債券で慌てて運用しなくてもいいということで、足元、債券セクターに対する収益要請はあまり強くないはずだ」と述べている。

 <ユーロ中心の展開>

 為替市場でドルは96円前半を中心とした値動き。前日の急ピッチの円安の反動で、円が買い戻される流れとなっている。朝方から本邦輸出勢のドル売り/円買いが見られたほか、クロス円で短期筋の利食い売り、投資家の売りも見られ、円が全般的に堅調。

 前日のニューヨーク市場では米株が急上昇し、投資家のリスク選好が回復するとの思惑が台頭、ドル/円が一時3週間ぶりの高値となる96.81円まで上昇していた。

 一方、東京市場では、日替わりで変わるリスク回避/リスク選好のシナリオに懐疑的な見方も出てきている。

 「株高だから、リスク選好で円売りというのも、使い古されたシナリオだ。市場は円売りの流れには半信半疑になっているが、とりあえず明確な方向感が出るまでは、短期的な流れに乗らざるを得ないというのが実情だろう」(外為専門会社)との指摘もある。「ユーロは現在も1.41ドル台という高水準を保っており、ドル/円ではなく、ユーロ/ドルの方向性の方が正しいという感覚もあり、ドルの価値を正当に評価すればドル安の流れだろう」(同専門会社)という。

 商品相場の上昇もユーロの明確な支援材料になっており、「商品市況が上昇するとともに、為替市場ではユーロや他の高金利通貨が選好されている」(邦銀)という。原油先物7月限は、現在1バレル=68.05ドル付近で、前日NY市場終値の68.58ドルから若干低下したものの、中心限月としては昨年11月以来の高値圏を推移している。

 ただ、最近のユーロ高に慎重な見方もある。「ユーロはチャート・ポイントを上抜けしたから短期筋に買われているという側面が強く、投資家の資金が本格的に動いているようには見えない」(ファンドマネージャー)という。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集 内田 慎一)

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