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焦点:米政府のGM支援、自由貿易阻害の懸念も

 [ワシントン 2日 ロイター] オバマ米大統領は2カ月前、ロンドンでの20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)で、世界的な経済危機のなか、保護主義的な措置を導入しないことを諸外国の首脳らと共に宣言した。

 6月2日、米政府のGM支援で自由貿易の精神が守られるのか疑問の声も。写真はデトロイトのGM本社。28日撮影(2009年 ロイター/Mark Blinch)

 ところが米政府は今回、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)GM.Nの筆頭株主となり、GMに米国内での生産を増やすよう働きかけている。これで自由貿易の精神が守られるのか、疑問の声も聞かれる。

 シンクタンクAEIの通商専門家、クロード・バーフィールド氏は「われわれ(米国)は、自由市場のリーダーと目されている」と話す。

 同氏は、今週の米政府によるGM支援で送られたシグナルの一部が「米企業の競争力や米国の公共政策のゴール推進といった面で、いずれツケとして回ってくるのではないか」と懸念している。

 ただ、別のアナリストは、欧州やアジアも同様の措置をとっていると指摘。米国が一部の企業を優遇しても苦言は呈しにくい、としている。

 法律事務所ミラー・シュバリエで通商問題を専門とするジョン・マグナス氏は「他国も自動車セクターへの支援策を実施している。それは政治的に妥当であり、ある程度法律上も妥当だ」との見方を示した。

 GMは1日、連邦破産法11条の適用をニューヨーク州マンハッタン破産裁判所に申請。早期再建に向け動き始めた。米政府は「新生GM」に300億ドルを追加支援、株式の60%を取得する。カナダ連邦政府とオンタリオ州政府がGMの12%株式を取得することになっている。

 <米政府、GMの生産の国内回帰に意欲>

 オバマ大統領は1日、生産を米国に戻すこともGM再建計画の一部だと明言。

 大統領は「計画が実施されれば、GMは低燃費車を含め国内での生産比率が上昇する。計画通りにいけば、米国で生産・販売されるGM車のシェアは、この30年間で初めて上昇することになる」と述べた。

 全米自動車労組(UAW)のゲトルフィンガー委員長は、サブコンパクトカーの生産について、アジアからの輸入を増やすのではなく、米国の工場で製造するという約束をGMから取り付けたと主張。同委員長は先週、ロイターに「米国で販売するなら米国で製造すべき」と述べた。

 また、売却が決まったGMのドイツ子会社オペルについて、GMが過半数株式を売却した後は米国および中国市場から排除されるよう米政府が主張したと一部で報道されているが、オバマ政権は、そうした決定はGMが行うとして、こうした報道を否定している。

 バーフィールド氏はGMをめぐる米政府の動きについて、自国の自動車産業育成を目指す中国などに対し、絶好の口実を与えると話す。

 米政府がGMを支援することで世界貿易機関(WTO)に提訴される可能性があるかとの質問に、マグナス氏は、海外の自動車メーカーは米政府の援助で実際に被害を受けていることを証明する必要があると指摘。こうした支援措置を阻もうとするのは困難だと述べた。

 民主党指導者協議会(DLC)の経済アナリスト、エド・グレッサー氏は「外国政府は、『バイアメリカン条項』のときのように、GM支援について騒ぎ立てることはできない」と主張。「G20の精神は、政府の手足を縛って主要産業を崩壊させることではないはずだ」と述べた。

 (Susan Cornwell記者;翻訳 吉川彩;編集 山川薫)

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