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株や資源国通貨にマネー流入、強まる流動性相場の色彩

 [東京 12日 ロイター] 週末12日の東京市場は、株式市場への資金流入が継続し、日経平均は1万円台で堅調に推移している。流動性相場の色彩が強いとの見方が強くなる中、外為市場では原油価格の上昇を背景に豪ドルなどの資源国通貨が買われる展開になっている。

 6月12日、株や資源国通貨にマネー流入。写真は昨年9月、都内の証券会社で(2009年 ロイター/Issei Kato)

 潤沢な流動性がうねり出したとの見方がマーケットに広がってきた。

 <海外勢や個人が株買いの主体>

 株式市場では日経平均が反発し、1万円台で推移している。長期金利の低下などを背景に米国株が買われたことを受けて、金融、小売りなどの内需系銘柄を中心に買いが先行した。引き続き海外勢や個人が買いの主体とみられている。「国内機関投資家の多くは押し目待ちの姿勢で動いていない。証券株や銀行株などの動きが良く、金融相場の特徴を示している。株価指標面では割高感も出てきたが、強気派は今後、企業業績が上方修正されれば正当化されるとみているようだ」(準大手証券トレーダー)という。

三菱UFJ投信・ストラテジストの石金淳氏は「日経平均は目先1万0500円程度までは上昇するかもしれない。ただ、センチメントの改善が先行した感が強い。実体経済はセンチメント系の指標は改善傾向が強く出ている半面、消費や雇用はこれからもう一段悪化する公算が大きいため、市場と実体経済のギャップを認識、現実悪を織り込むところでいったん調整局面に入る」と予想。さらに「現実がセンチメントに追いつけば、年末にかけて本格反騰となり、1万円台が確実な水準となってくるだろう」とみている。

 日経平均ベースでは11日現在、予想株価収益率(PER)が約43倍、株価純資産倍率が1.3倍となり、バリュエーションでの割安感は薄れている。「これまで日本株は消去法的に買われてきたが、水準訂正は進んだ。現状はカネ余りを背景とする需給主導の相場といえる。上値は読みにくいものの、ここからオーバーシュートすれば反動安がこわい」(東海東京証券エクイティ部部長の倉持宏朗氏)との見方も出ている。

 <豪ドルや英ポンドへの資金流入観測> 

 為替市場ではドルが再び弱含みとなってきた。きょうにかけた取引でも、米金利の低下などを背景にドルは売りが先行。ドル/円は97.28円まで下落し、ユーロ/ドルは1.4178ドルまで上昇した。

 一方で、上昇の目立っている豪ドルや英ポンドへの買いが、結果としてドルを押し下げた側面に着目する声もある。

 豪ドル/米ドルは0.82ドル前半と3日につけた8カ月ぶり高値の0.82ドル半ばに接近。米原油先物が1バレル=73ドル台と8カ月ぶり高値を更新したことに加え、10日発表の6月消費者信頼感指数が22年来の大幅上昇を記録、前日の5月豪就業者数も減少幅が事前予想を大幅に下回るなど、相次ぐ豪経済指標の強含みが豪ドル買いの手掛かり。豪ドルは対円でも堅調で、海外市場で一時80円半ばと8カ月ぶり高値を更新した。

 豪中銀は前週の会合で政策金利の据え置きを決定。スティーブンス総裁は4日の講演で一段の金融緩和措置が残っているとの考えを示したが、市場では経済指標の強含みなどを背景に、金利は当面据え置きが続くとの見方も強まっている。前日海外の取引では一部豪地元紙が、インターバンク先物市場は来年4月までに0.25%の利上げを2度実施する可能性があると示唆しているなどと伝えたことも話題となった。

 英ポンド/ドルも、前日海外市場で1.6622ドルと3日につけた8カ月ぶり高値に迫った。英ポンドは今週に入り、米投資会社ブラックロックBLK.Nの英銀バークレイズBARC.L資産運用部門バークレイズ・グローバル・インベスターズ買収に伴い、米ドルから英ポンドへ巨額の資金が流入するとともに為替が発生する可能性があるとの観測が、市場で英ポンド買い/ドル売りの手掛かりとして話題となっていた。英ポンド/円も162円前半と7カ月ぶり高値圏へ上昇して取引されている。 

<米国債からIMF債へのシフトの影響>

 円債市場では、国債先物が上昇した。中心限月9月限は一時前日比50銭高に迫り、長期金利の指標となる10年最長期国債利回りを押し下げた。新発301回債流通利回りは、前日比4ベーシスポイント低い1.515%。

 10年米国債利回りは10日のニューヨーク債券市場で、一時節目の4%に上昇していた。海外金利の急上昇への警戒感は残っているものの、一定の「天井感」が出始めていることが、円金利押し下げにつながった格好だ。クレディスイス証券・債券ストラテジストの福永顕人氏は「米国で週内のオークションを終え、10年米国債利回りが低下に向かった流れを継いで、国債先物が主導するかたちで国債相場がブル・フラット化した」と話した。

 JPモルガン証券は、国際通貨基金(IMF)債の発行を受けて中央銀行が米国債からIMF債に投資をシフトした場合、それが米国債金利に与える影響を試算した。

 同証券の木村仁美・債券ストラテジストは「IMFの融資枠拡大額は5000億ドルだが、実際のIMF債発行額は、今後のエマージング諸国の融資需要等に影響される。悲観的なシナリオとしてこれまでに報道されている各国のIMF債購入額計800億ドルのすべてが米国債の需要減少につながると仮定(内訳:中国500億ドル、ロシア100億ドル、ブラジル100億ドル、インド100億ドル)、各国中銀の米国債保有デュレーションを5年と仮定した場合、中銀からの米国債に対する800億ドルの需要減少は、最大で米国債金利を28ベーシスポイント程度押し上げるに止まろう」と指摘している。 

 一方、6月12─13日にイタリアのレッチェで開催される主要8カ国(G8)財務相会合については「景気回復の芽が出てきているかもしれないとの見方を共有しつつも、かといって財政を絞れるわけでもなさそう。財政拡大・縮小両サイドに舵を切れるタイミングでもないため、メッセージ性に乏しいものになるのではないか」(ドイツ証券・チーフ金利ストラテジストの山下周氏)との見方があった。 

(ロイター日本語ニュース 田巻 一彦 ;編集 石田仁志)

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