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G8が出口戦略に一歩、経済に「安定化の兆候」

 [レッチェ(イタリア) 13日 ロイター] イタリア南部のレッチェで開かれていた主要8カ国(G8)財務相会合は13日、世界経済について「安定化を示す兆候がある」と認識を前進させながらも、先行きは依然として不確実性が高いと警戒を維持する共同声明を採択して閉幕した。

 6月13日、G8が出口に向け一歩踏み出す。写真はガイトナー米財務長官(中央)ら。12日撮影。イタリア・レッチェで代表撮影(2009年 ロイター/Claudio Longo)

 こうした認識の下に、経済の安定と持続的成長に向けた対応の継続でも一致した。一方、景気回復に向けて各国が実施している「例外的な政策」に対し、景気が回復した段階で円滑な「出口戦略」を実行できるよう議論を開始、出口に向けた一歩を踏み出した。

 <世界的に景気に「底打ち感」、先行きリスク存在で景気刺激継続>

 声明では、現下の世界的な経済・金融危機の克服に向けて各国が協調行動を継続していることを指摘した上で、世界経済について「株式市場の回復、金利スプレッドの縮小、企業・消費者の信認の改善など安定化を示す兆候がある」とし、景気の現状認識を前進させた。

 一方で「状況は依然として不確実であり、経済・金融の安定化に対する大きなリスクが引き続き存在する」と楽観視できないことも強調。特に「生産が増加し始めた後も、失業は増え続ける可能性がある」と雇用情勢に警戒感を示し、「世界経済を強固で安定した持続可能な成長軌道にのせるために必要な方策を講じる上での、他の国々との協働を継続する」と景気回復に向けた政策継続の重要性を訴えた。

 ガイトナー米財務長官は会合後、世界経済について「経済の嵐は勢力が後退している。多くの国の経済において、安定化に向けた勇気づけられる兆候がある」と景気悪化に歯止めがかかりつつある現状を歓迎。主要国の国内総生産(GDP)の落ち込みはペースが鈍化していくとの見通しを示すとともに、中国など一部の新興国では成長が加速しており、貿易に上向く兆しがみられると述べた。

 与謝野馨財務・金融・経済財政担当相も、会合での議論を踏まえ、「世界的には、いわば底打ち感をそれぞれの国が持っているとの強い印象を受けた」とし、主要国間で経済は最悪期を脱したとの認識を共有したことを明らかにした。

 <「出口戦略」を議論、実行は時期尚早>

 こうした「世界経済は移行期にある」(ガイトナー長官)との認識を受け、会合では、各国が景気回復に向けて採用している大規模な財政措置など「例外的な政策」の出口についても議論が行われた。

 声明では、例外的な政策について「景気回復が確実となった際には、元に戻すための適切な戦略を用意する必要について議論した」と明記。いわゆる「出口戦略」を「国により異なるが、長期的に持続可能な回復を促進するために不可欠」と位置づけ、国際通貨基金(IMF)に対して必要な分析を行うことを要請した。

 もっとも、ダーリング英財務相が13日のロイターとのインタビューで「財政は中期的に、より持続可能な水準に戻す必要があるが、景気刺激策を解消し始めるのは早すぎる」と指摘したように、景気の現状は出口戦略を実行する段階にないことも事実。

 与謝野財務相も出口戦略について「今は考える時期であって、実行する時期ではない。こうした考えは各国で一致している」と出口論が独り歩きしないよう釘を刺した。

 ガイトナー長官はむしろ、「G8とG20の間では、成長が依然として政策の重点であるべき」とし、政府は需要を支えて「耐久性のある回復」への基礎をつくる必要があると景気刺激策の継続を表明した。

 G8がこうした段階で出口戦略に言及した背景には、景気刺激策で各国の財政支出が拡大し、経済に明るい兆しが見え始めるなか、あえて財政の持続可能性にコミットすることで、長期金利市場などに安心感を与える思惑もありそうだ。

 2010年の世界経済の成長見通しを上方修正したIMFのストロスカーン専務理事は「修正を過大評価すべきではない」とし、「引き続き注意深い姿勢が必要。回復は弱く、依然として多くの措置が必要だ」と先行きを楽観すべきではないと強調した。

 <ストレステストも議論、商品価格上昇に警戒感>

 声明には盛り込まれなかったが、会合では、米政府が国内金融機関19社を対象に実施したストレステスト(健全性審査)に関する議論も行われたようだ。ラガルド仏経済財務雇用相は、会合で銀行のストレステストや手法について議論があったと発言。一部では欧州の金融機関に対してストレステストを求める声が出ているが、トレモンティ伊経済財務相は「欧州ではストレステストについて、国レベルでも欧州レベルでも、公開するか非公開とするかなどについて、議論を開始していない」と指摘。シュタインブリュック独財務相も「個別行の結果は公表しない」と語った。

 また、トレモンティ経済財務相は、最近の商品価格などの上昇に対して「投機的な動きが活発化している。ある特定の金融取引が再び頭をもたげており、昨夏までの望ましくない状況が再現されようとしている」と警鐘を鳴らし、こうした懸念が他の参加国からも表明されたことを明らかにした。

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