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G8財務相会合:識者はこうみる

 [東京 14日 ロイター] 主要8カ国(G8)財務相会合は13日、世界経済について「安定化を示す兆候がある」としながらも、先行きは依然として不確実性が高いとする共同声明を採択して閉幕した。市場関係者のコメントは以下の通り。

 6月13日、G8財務相会合は世界経済について「安定化を示す兆候がある」としながらも、先行きは依然として不確実性が高いとする共同声明を採択。写真はガイトナー米財務長官(右)とダーリング英財務相。代表撮影(2009年 ロイター/Claudio Longo)

 ●ドルと円の買い戻しを支援

 <JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長 佐々木融氏>

 主要8カ国(G8)財務相会合にサプライズはなく、ここでの議論自体が為替市場に影響することはなさそうだ。しかし、これまでの景気回復をにらんだ株価上昇や債券価格の下落(利回りの上昇)などにやや調整色が出てきており、為替市場でもドルと円の売りが一巡しそうな気配があった。G8財務相会合での(各国の景気テコ入れからの脱却を探る)出口戦略の議論は、こうしたトレンド転換を支援する材料にされるだろう。景気回復期待によるポジションの巻き戻しが起きるとみており、ドルと円が買い戻される見通しだ。

 ●株・債券に配慮したバランスの取れた共同声明

 <RBS証券 シニアストラテジスト 市川達夫氏>

 共同声明の第一印象は株と債券両方に配慮されたバランスの取れたかたちというものだ。株がやっと戻ってきたが、長期金利は上がり始めているため、声明が両市場に、どう表現すればうまく受け止められるかという点で苦労したのではないか。世界経済の安定化の兆しが見えてきたという点で株の回復が正当化され、金利が上昇したことへの懸念から財政再建、もしくは出口戦略の話をし始めている。

 景気認識については、サプライズはなかった。内外ともに回復傾向にある指標が出てきており、景気は最悪期を脱し、底を打ったというもので、マーケットの認識に沿った表明になった。財政出動による長期金利の上昇に関しては、十分懸念していることは伝わるが、その対策について、やはり具体性に欠ける。引き続き、グローバル的に長期金利の上昇懸念は残るとみている。ただ、国際通貨基金(IMF)に、各国の適切な財政再建策などを分析する方針で合意したことは、債券市場には多少なりとも支えになる。

 出口戦略に関しては、各国で事情が違うため温度差があるようで、最終的にはなかなか協調して同じ政策のもとで実施することは難しい。ただ、危機対応が終わって、方向性だけでも共有されたことは重要なポイントと受け止めている。出口戦略の中で、発行し過ぎた国債を、どうやって元に戻すかという中長期的な議論が出てこざるを得ないと思うが、市場にとっての注目は、これだけ不透明な要因が多いと、中長期的な要因というよりは、目先の材料をどう消化するかという方向で動いてしまう傾向がある。中長期的な話はグローバルに協調してやっていく意志が伝わったとしても、足元の相場は目先の材料を、しっかりと消化できるかというところで、動くとみている。

 ●景気や出口政策に予想通りの慎重姿勢示す

<東短リサーチ チーフエコノミスト 加藤出氏>

 今回の会合では主にドイツが中心となって財政赤字拡大への懸念を示しつつ、各国が実施している「例外的な政策」からの出口論を主張していようだ。一方、米国などは足元の景気の弱さを鑑みれば、積極的に出口政策の議論に乗れるようなフェーズではなかっただろう。景気刺激策による財政面のサポートが一巡したあと、完全に景気回復に対する自信を持つことができなければ具体的に「出口」に向かっていくのは難しい。日米ともに、財政支出の後、継続的な成長を維持できるかはまだか分からない。

 現時点でのG8の景気認識としては、先行きのダウンサイドリスクを意識しつつ当面は景気の成長を促していく局面なので、すぐに出口政策に向けて大きく舵取りすることはないようだ。

 声明を含め予想の範囲内の内容だったので、週明けの金融市場に大きく影響することはないと思う。より楽観的なコメントが出てきたのであればサプライズだっただろうが、予想通り景気や出口政策について慎重姿勢を示した、という印象だ。

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