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期待先行相場に修正、出口論を警戒するファンド勢

 [東京 23日 ロイター] 23日の東京市場では、株式や高金利通貨などリスク投資のポジションを閉じる動きが一斉に出た。世界銀行が厳しい経済見通しを出したため、期待先行で相場が上昇してきた反動が出ている。

 6月23日、東京市場では、リスク投資のポジションを閉じる動きが一斉に出た。写真は昨年10月、都内の株価ボード前で(2009年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 一部では、財政・金融政策の出口論を警戒したファンド勢が手仕舞いに動いており、そのあおりで日経平均は9000円程度まで調整する、との声も聞かれる。

 <25日線割り込む>

 株式市場では日経平均が急反落し、前日比300円を超す下げ幅となっている。

 米国株の大幅下落や、為替が1ドル95円台前半まで円高に進んだことが嫌気され、幅広い銘柄に処分売りが先行した。「海外勢が売り越しに転じたほか、直近買われた銘柄に個人やディーラーなどの投げ売りも出た。下値支持線となっていた25日移動平均線(9658円67銭=22日現在)を割り込んことで、先物にも売り圧力が強まり下げ幅が拡大している」(大手証券エクイティ部)という。

 主要国の株式市場で景気に対する楽観的な見方が後退している。世界銀行が22日、世界経済見通しについて、引き続き不透明感が非常に強いとして大半の主要国の2009年成長率見通しを引き下げたことがきっかけになった。「これまで期待先行で上昇してきたが、厳しい経済観測が出てくるとさすがに荷もたれ感も強くなる。世界経済の鍵を握る米国の個人消費は、雇用悪化や住宅価格下落による逆資産効果などで簡単に回復するわけではない。日経平均は25日線を割り込んだが、十分な調整とは言えず、さらに日柄調整を要するだろう」(証券ジャパン調査情報部長の小林治重氏)との声が出ている。

 三菱UFJ証券投資情報部長の藤戸則弘氏は、伊レッチェでの主要8カ国(G8)財務相会合で超金融緩和策からの「出口政策」の話が出たことが、マネーフローに影響を与えたとみている。「いつまでも超金融緩和という好状況は続かないということをファンド勢も認識させられたのではないか。ヘッジファンドが3月以来、新興国株式や新興国・資源国通貨、コモディティーに積み上げてきたリスクポジションの利益確定売りを出している。原油先物やインド株、ロシア株、金先物などへの外国人投資家の売り越しが続いており、ファンド勢がいったん手仕舞いに動いている構図が鮮明だ」という。

 藤戸氏は、日本株も単独で下げているわけではなく、リスクマネーの巻き戻しの一環として下落しているとみている。「ヘッジファンドが一度動き出すとしばらく続くケースが多いため、日経平均は9000円に接近する可能性もある。リスクマネーの動きをみるには、原油先物が下落を続けるのか、再び上昇基調に戻るのかがひとつの目安になろう」と同氏は指摘している。

 <楽観相場は終焉か>

 外為市場では、ドル/円、クロス円が約1カ月ぶりの安値を更新した。ドルは朝方の高値95.97円から一時95.19円まで下落、ユーロ/円は朝方の高値132.98円から131.84円へと下落した。相場を主導したのはクロス円の値動きだった。

 東京都民銀行シニア為替アドバイザーの角田秀三氏は「クロス円は世界景気回復をはやした楽観相場で4月から上昇基調だったが、さすがに楽観相場も終わり、市場は本格的な利食いモードに突入した。ユーロは少なくとも131円あたりまで調整するだろう」とみている。「夢から覚めた後は、足元の実体経済を見定めながら次の相場展開を見定める動きになるだろう。楽観論が再び台頭することは当分ないと思っている」と同氏は話す。

 日経平均が300円を超えて下落する中、「機関投資家からクロス円の売り物が出ている。相場が急ピッチで反落しているので、利食いではなく、むしろ損切りの可能性が高いだろう」(外為アナリスト)との声も聞かれた。

 市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)での米国債買い入れについての判断が注目されている。一部では、国債買い入れ期間の延長を決める可能性があるとみられているほか、長期国債の買い入れ予定額を増額し、モーゲージ証券(MBS)の買い入れ予定額を減額するなどの憶測も浮上している。

 他方、きょうからの米国債の大型入札への懸念も浮上しているが、「入札はいつも事前には懸念されるが、これまでのように、そこそこ順調な結果になるのではないか」 (都銀)との声も聞かれ、為替市場のかく乱要因にはならないとの見方もある。

 <打診買いの域>

 円債市場は続伸。米債高や株安、円高など外部環境が支えとなった。10年債長期国債利回り(長期金利)は3.5ベーシスポイント(bp)低い1.420%に低下、約1カ月ぶりの低水準をつけた。

 市場では、長期金利が一時1.5%半ばまで上昇しいったんピークをつけ、国債増発も心理的には十分に織り込んだとの声が多く、株安局面では投資家の押し目買い意欲は強いという。

 ただ、今後の投資家動向については「突っ込んで買っていくというよりは、金利が上がれば買うというスタンスでいくだろう」(国内金融機関)との見通しが多い。

 この関係者は「7月の増発のタイミングで金利が上昇する場面があっても、むしろ買いのチャンスだとみる参加者も多いのではないか。短期的には需給不安が後退することもあるだろう。やはり、税収不足や追加の景気対策が意識される年末にかけての発行増の方が懸念材料としてくすぶり、需給面からの潜在的な金利上昇圧力は残ると思う」と話している。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集 山川 薫)

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