[サンノゼ(米カリフォルニア州) 29日 ロイター] - 米アップルAAPL.Oと韓国サムスン電子005930.KSによるモバイル技術をめぐる米国の特許訴訟で29日、両社が陪審員に最終陳述を行った。
サムスン側代理人、ウィリアム・プライス弁護士はこの中で、アップルの特許技術の一部は同社のスマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)「iPhone(アイフォーン)」に組み込まれてさえいないと主張。数十億ドルの損害を受けたとするアップルの主張は不当だとした。
別の代理人、ジョン・クイン弁護士は、アップルが技術の価値を意図的に膨らませて陪審員を混乱させたと指摘した。
一方、アップル側代理人であるハロルド・マッケリニー弁護士は、サムスンによる技術の模倣行為はアップルに大きな損害をもたらしたと主張。「サムスンの違法な戦略が非常に成功していることをわれわれは知っている」と述べた。
アップルとサムスンはこの3年間、世界中で特許訴訟を繰り広げている。
2012年の米国の訴訟では、陪審員がサムスンに対し、アップルの特許を侵害したとして約9億3000万ドルの支払いを命じたものの、ルーシー・コー連邦地裁判事はサムスン製品の販売差し止め請求は認めなかった。
今回の訴訟では、前回訴訟で争われなかったアップルの特許5件が対象となっているほか、アップルはサムスン製品の販売差し止めと約20億ドルの損害賠償を求めている。
一方、サムスンもアップルが自社の特許2件を侵害したと主張。アイフォーン5の販売差し止めと600万ドルの損害賠償を求めている。
これについて、アップル側代理人のウィリアム・リー弁護士は、サムスンが求める賠償額は低く、知的財産全体の価値を引き下げようとしていると主張した。
また、サムスンは今回の訴訟で、アップルが保有していると主張する特許の一部は、実際には米グーグルGOOGL.Oが開発したものだと主張。複数のグーグル幹部を自社側の証人として起用した。
アップル側のマッケリニー弁護士は、グーグルは無関係だと主張。
一方、サムスン側のクイン弁護士は、アップルがサムスンを訴えたのはグーグルと争いたくなかったためだと指摘した。
陪審員は29日、評決の検討に入った。アップルとサムスンどちらかの特許侵害が認められれば、勝訴した側がコー判事に対し、相手方製品の販売差し止めを求めることができる。
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