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湿っぽい調整相場、地政学リスクが日本株とドル円圧迫

[東京 16日 ロイター] - 「イラクショック」は回避されたが、相場は湿りがちだ。世界経済は成長しているとはいえ、そのスピードは緩やか。原油価格が急騰すれば影響は大きい。日本株は過熱感、米株には高値警戒感があり、利益確定売りが出やすくなっている。

6月16日、「イラクショック」は回避されたが、相場は湿りがち。日本株は過熱感、米株には高値警戒感があり、利益確定売りが出やすくなっている。写真は都内の株価ボード。2日撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

ドル/円も地政学リスクを警戒し上値が重い。薄商いの中で日本の成長戦略などを材料にした短期筋による売買が目立っている。

 <薄商いで短期売買が存在感>

日経平均.N225は前週末に続き、2営業日続けて後場から大きく動いた。13日は安値から300円近く上昇したが、週明け16日は後場、一気に一時200円安まで下げ幅を広げた。2日とも特段の材料は見当たらない。

前週末は、後場に入って「安倍首相が13日午後、法人実効税率の引き下げについて方針を発表する」と伝わったことが買い材料になったとの指摘があった。週末に明らかになった成長戦略の素案は、「方向性としては良かった」(外資系証券)との声が出ており、失望されたわけではないが、株価の上値が重かったことで、買い方が売りに転じたのではないかとみられている。

「イベントドリブン型の短期筋は日銀決定会合が材料になりにくくなったので、成長戦略をターゲットにし始めたのではないか」と立花証券・顧問の平野憲一氏は指摘する。短期筋の売りであれば、いずれ買い戻されるので相場には基本的に中立だ。成長戦略の評価もまだ定まったわけではない。

ただ、グローバル投資家はイラクなどでの地政学リスクの高まりで手控え気味であり、相場の活況さは失われている。米株は過去最高値圏で推移しており、リスクには敏感になりがちだ。16日の東証1部売買代金は1兆6370億円にとどまった。薄商いのなかで、短期筋の売買が存在感を高めているようだ。

北海ブレント原油先物LCOc1は前週末13日の海外市場で一時、1バレル114.69ドルを付け、約9か月ぶり高値を付けたが、週明け16日の市場では113ドル台で推移。「イラクショック」はいったん回避されたが、ウクライナの情勢も再び不安定化しており、「地政学的リスクを警戒し、ドル/円も上値が重くなっている」(岡三オンライン証券・投資戦略部部長の武部力也氏)という。

<レンジ取引は変わらず>

ただ、相場の大きな流れをみれば、レンジ取引の範囲内だ。日経平均は1万4000円割れの水準から、1万5000円台を回復してきたが、大台を超えると一気に上値が重くなってきた。今年の年初からみれば、1月に大きく調整したあとは、1万4000円から1万5000円のレンジは変わっていない。

ドル/円もオーバーシュートすることはあっても、2月以降は、101円─102円後半のレンジ内で一進一退が続いている。

イラクやウクライナなど地政学リスクへの警戒感は高まっているものの、世界経済はそれほど悪くない。米経済が4─6月期以降、回復してくるというのが基本シナリオだ。米国のテーパリング(量的緩和縮小)は粛々と進められるとみられ、PER(株価収益率)の拡大による株高はもう期待できないにしても、米企業の利益拡大に合わせた株価の上積みは十分ありうるとみられている。

日経平均を1万4000円から押し上げたのは、信託銀行経由とみられる国内年金の買いと、その後の海外勢の買いだ。ただ、前週にはそれも一服したとみられ、日経平均は1万5000円を挟んだもみあいに再び転じてしまった。その間売っていたのは個人投資家だ。個人は主力株を売って、マザーズなど新興市場に資金をシフトしている。

SMBCフレンド証券チーフストラテジストの松野利彦氏は日本株について「企業は配当を数兆円単位で増やしており、設備投資にも積極的になってきた。増税後の個人消費も底堅い。ただ、公的資金の買いによる『官製相場』であれば長続きしないだろう。買い上がる主体は今のところ見当たらないが、下がりもしないというカラっとしない相場が続きそうだ」との見方を示している。

(伊賀大記 編集:内田慎一)

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