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原油高騰は物価上昇加速か需要下振れか、7月日銀会合で分析へ

[東京 26日 ロイター] - イラク情勢緊迫による原油価格の上昇が、日銀の景気・物価・政策判断で新たな課題となりつつある。短期的には2%の物価目標達成を早める可能性がある一方、実質所得の減少で需要が下振れれば、中期的には物価の押し下げ要因になるため、量的・質的緩和(QQE)のカジ取りが複雑になることも予想される。

 6月26日、イラク情勢緊迫による原油価格の上昇が、日銀の景気・物価・政策判断で新たな課題となりつつある。写真は2011年10月、都内の日銀で撮影(2014年 ロイター/Yuriko Nakao)

2016年度までの経済・物価見通しを更新する7月の金融政策決定会合でも、影響を分析することになりそうだ。

今月12─13日に開かれた決定会合では、イスラム教スンニ派の過激派組織「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)が、首都・バグダッドに向け進撃を開始するとの声明を出した直後に開催された。会合後の記者会見で黒田東彦総裁は「イラクは世界に石油を供給している重要な国。地政学リスクについて、十分注意してみていかなければならない」と述べたものの、その後の同国における情勢緊迫化について、必ずしも十分に予見して議論してはいなかったもようだ。

23日、黒田総裁は都内での講演で、中国の過剰設備・債務問題などと並び「一部の国の地政学的リスクなどについても目が離せない」と、強めの表現で警戒感を示した。日本経済は「長期金利と原油価格の上昇にぜい弱」との見方が日銀内にはあり、影響を入念に検討しているようだ。

もっとも現時点の日銀内では、中国など新興国の景気減速を考慮すれば、原油価格が一方的に上昇すると決めつけるのは時期尚早との見通しが多いようだ。

日銀は今後、1) 原油価格上昇が一時的かどうか見極め、2)仮に上昇が続くならば、消費者物価指数の見通しにどのように影響するか──などを試算すると予想される。

4月消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)は、消費税の影響を除いて前年比1.5%まで上昇したが、これまでのところ日銀は、円安要因などがはく落しつつあるため「夏場に向けていったん1%近辺まで縮小し、年度後半から再び上昇傾向をたどる」(黒田総裁)とみている。

原油シナリオ次第で、1)プラス幅が大きく縮小せずに横ばいで推移するか、2)前倒しで上昇に転じるか──などを議論することになりそうだ。

一方で、原油高は企業のコスト増要因になるだけでなく、実質所得の減少要因にもなる。消費増税で目減りしている実質所得に原油高が加われば、現時点では想定内とされる消費の反動減が、一段と下押しされる可能性がある。

輸出の低迷が長期化し、景気のけん引役として消費の重要度は高まっており、もし消費の下振れが顕在化すれば、原油価格の上昇を受けて物価は上昇しても、成長率が下振れる要因となりかねない。

財政・金融のフル出動と、人手不足などが交ざり合う形で、物価は昨年以降順調に上昇してきた。だが、原油高で需要が縮小すれば、来年度に向けた企業の賃上げムードにも水を差しかねない。

そのケースでは、安定的に毎年物価が2%ずつ上昇する姿が遠のくシナリオの現実性が高まるだろう。

大幅な原油高が実際に発生した場合、日銀は難しい政策判断を迫られそうだ。

竹本能文 編集:田巻一彦

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