[12日 ロイター] - 米国の労働市場改善を背景に、米連邦準備理事会(FRB)の地区連銀総裁らの間で利上げ時期の前倒しに関する協議が加速している。11日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。
6月17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRB当局者の大半は2015年まで利上げはないと予想していた。ところが、7月3日に発表された6月の雇用統計で、非農業部門の雇用者数が28万8000人増加。伸びは市場予想の21万2000人増を大きく上回った。失業率は6.1%と、予想の6.3%を下回り、2008年9月以降で最低の水準となった。当局者らは、失業率が年内に6.1%近くまで低下するとはみていなかった。
サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は以前、WSJに対し「失業率の低下は、当初の想定より早く進んでいる」と発言。金融政策の安全な正常化も、当初の想定より早く始めることができるとの見方を示唆していた。この際は具体的な利上げ時期については言及しなかったが、以前、2015年後半になるとの見通しを示していた。
WSJの報道によると、ウィリアムズ総裁は、低金利を志向するハト派に当たるため、彼のコメントは注目に値するという。
他方で、タカ派のFRB当局者からの早期利上げを求める声は日増しに高まりつつある。
フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁は、WSJに対し「米国経済は回復している上、ゼロ金利の長期継続にはリスクがあり必要ないということを踏まえて、声明の文言を調整する必要がある」と述べた。
セントルイス地区連銀のブラード総裁は、2015年第1・四半期に利上げを開始すべきだと考えており、今年第1・四半期に大幅な落ち込みをみせた米国内総生産(GDP)が確実に回復したとの確信が得られた場合はこの見通しを前倒しすると示唆した。
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