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日本の武器輸出が本格化、英とミサイル研究・米にセンサー

[東京 17日 ロイター] - 政府は17日、戦闘機用のミサイルを英国と共同研究することを決定するとともに、米国から打診のあった迎撃ミサイル向け部品の輸出を許可した。

 7月17日、政府は、ミサイルを英国と共同研究することを決定し、米国から打診のあった迎撃ミサイル向け部品の輸出を許可した。写真は安倍晋三首相。都内で1日撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

4月に導入した新たな武器輸出ルールのもと、国家安全保障会議(NSC)が判断した初の事案で、日本の防衛装備品の海外移転と国際共同開発が具体的に動き出した。

<三菱電機が参画>

英国と共同研究するのは、F35への搭載を念頭に置いた空対空の中距離ミサイル。英国の持つミサイル技術と、目標を検知・追尾する日本のセンサー技術を組み合わせた際の性能などを分析する。

関係者によると、英国からは防衛大手のMBDA、日本からは三菱電機6503.Tが参画する。MBDAは英独などNATO(北大西洋条約機構)4カ国が共同開発した戦闘機ユーロファイターの空対空ミサイル「ミーティア」を手掛けており、英政府は同ミサイルの改良版がF35に搭載可能と考えている。三菱電機は自衛隊にミサイルを納入しており、センサー技術に強みを持つ。

F35は9カ国が開発に携わり、米国だけで約2400機、日本を含めた全世界で3000機以上の配備が見込まれる。敵に捕捉されにくいステルス性能を発揮するため、ミサイルは胴体内に格納する。

<米国からイスラエルにも>

一方、米国には迎撃ミサイル「パトリオット2(PAC2)」に使うセンサーを輸出する。米国は同ミサイルを主にカタールへ輸出する計画だが、旧型であるため、米国内で一部部品を調達できない状態だった。日本では三菱重工業7011.Tが米レイセオンRTN.Nからライセンスを取得し、自衛隊向けに生産している。

日本は4月、武器輸出の新たなルール「防衛装備品移転三原則」を導入。従来の禁輸政策から、1)国際的な平和と安全の維持を妨げる場合は輸出しない、2)輸出を認める場合を限定して厳格に審査する、3)目的外使用と第三国移転は適正管理が確保される場合に限る──の3条件を満たせば輸出を認める方針に転換した。

特に慎重な検討が必要な案件は、最終的にNSCが審査する。今回はどちらの案件も許可されたが、第三国への移転は、日本の輸出先の管理に委ねられる。米国がPAC2を輸出する相手国には、イスラム原理主義組織ハマスとの戦闘が続くイスラエルが含まれる可能性もある。

<豪に潜水艦、印に飛行艇>

日本は開発コストの低減、最新技術の取得、安全保障関係の強化という観点から、外国への輸出や国際共同開発を増やしたい考え。オーストラリアとは潜水艦の共同開発、インドとは救難飛行艇の輸出について交渉している。

日本が防衛装備品を輸出したり、国際共同開発したりするには、情報の保持義務や第三国への輸出ルールなどを定めた政府間協定が必要になる。これまでに米、英、オーストラリアと締結し、フランスなどとも協議している。

久保信博

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