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株価のこう着感招く「セルボラ戦略」、地政学リスク下でもレンジ内

[東京 18日 ロイター] - 18日の東京市場では、地政学リスクの高まりで株安が進んだものの、日経平均.N225は直近1カ月のレンジである1万5000─1万5500円を抜け出せずにいる。市場では、ボラティリティ低下時に利益が出るオプションを売り持ちにする「セルボラ戦略」の増加が変動を抑える一因になっているとの指摘が出ている。

 7月18日、東京市場では地政学リスクの高まりで株安が進んだものの、日経平均は直近1カ月のレンジである1万5000─1万5500円を抜け出せずにいる。4月撮影(2014年 ロイター/Issei Kato)

マレーシア機墜落やガザ地区でのイスラエル軍地上作戦展開などで、リスク回避の動きが広がり、18日の日経平均は一時259円安となった。

ただ、11日の直近安値1万5101円を割り込まず、売り一巡後は下げ幅を縮小。あらためて底堅さが示された格好だ。

将来の変動率を予想するインプライド・ボラティリティ(IV)JNIATMIV.OSは前日からやや上昇したものの、残存期間30日のIVは13前後と2月上旬の30台から半分以下の水準に落ち込んだまま。2011年1月以来、約3年5カ月ぶりの低水準となっている。

ボラティリティの低下に呼応するように日経平均の日中値幅(1日の高値と安値の差)も縮小傾向をたどっている。月間平均でみると、2月の235円10銭から6月には140円86銭まで低下。7月(17日まで)は118円18銭と一段とこう着感を強めている。

市場では「本格的に決算発表が始まる前ということで手控える投資家が多い」(国内証券)との声がもっぱらだが、一方でデリバティブ市場でのテクニカルな要因が日本株の変動を抑えているとの見方が出ている。

注目されているのが「セルボラ戦略」だ。投資家がオプションを売り持ちし、ボラティリティの低下とともに利益が出る戦略をいう。

一定のオプション料が得られる一方、損失額は限定されないためリスクが高い手法だが、世界的に「イールド・ハンティング(利回り狩り)」が広がり、金利が低下するなかで、オプションを売ることで少しでも高い利回りを得ようとする動きが活発化。オプションの買い手となる証券会社はリスクヘッジのために、株価が上昇すれば先物を売り、下落すれば買うというヘッジポジションの調整を余儀なくされるという。

外資系証券トレーダーによれば、前週に3000─4000億円規模のプット売りが観測されるなど足元でも「セルボラ戦略」を採る投資家が多いと指摘する。同トレーダーの試算では、日経平均が1%変動するごとに約300億円の逆張りヘッジ需要が出るとみられている。

<日経平均リンク債投資も、低ボラ助長>

もう1つの要因が日経平均リンク債の存在だ。日経平均リンク債にはプットオプションが組み込まれており、リンク債の購入者がプットの売り手、発行業者が買い手となる。基本的には「セルボラ戦略」と同様に、リンク債の発行業者による逆張りヘッジ需要が生まれる仕組みだ。

BNPパリバ証券の株式・派生商品統括本部長、岡澤恭弥氏は「日経平均が節目1万5500円を上抜けない理由の1つに(日経平均リンク債に絡んだ)オプション・バリアがある」と指摘する。

日経平均リンク債が早期償還されるトリガーレベルは、設定時の株価水準から5%─20%程度、上方に位置するとされ、特に10%で設定されているものが多いという。

日経平均は昨年中旬以降、ほとんどの期間を1万4000円近辺で推移してきたことから、1万5500円近辺にトリガーが集中しているとみられている。

そのため日経平均1万5500円に向けて上昇する局面では、粛々とヘッジ調整の売りが出やすいほか、「他の投資家もどの水準まで売りが出るかわかっているため、トリガーレベル近辺では手控えが一層強まりやすい」(欧州系証券のデリバティブトレーダー)と指摘されている。

ただ、節目を突破すれば上げ基調が強まるとの見方も出ている。日経平均がトリガーレベルに達し、リンク債が早期償還されればヘッジ調整の必要がなくなるためだ。

ゴールドマン・サックス証券エクイティデリバティブトレーディング部長の宇根尚秀氏は「日経平均1万5500円から1万6500円にかけて逆張りヘッジ需要が徐々に低下し、上値を追う動きは軽くなる」と述べている。

杉山容俊 取材協力:佐野日出之、植竹知子 編集:田巻一彦

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