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地政学リスクでもこう着相場に変化なし、米住宅市場に残る懸念

[東京 23日 ロイター] - 日本株とドル/円は、再びこう着感が強まっている。地政学リスクでさえ、相場を動かすことができなかったことに、値動きに飢えている市場関係者は肩を落としている。悪くないが良くもない経済状況が、皮肉にも投資の手掛かりを奪っているという。

 7月23日、日本株とドル/円は、再びこう着感が強まっている。写真は都内証券会社前で昨年12月撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

米経済のネックだった住宅市場は回復しているものの、学生ローンの増加などが足を引っ張っており、米経済を大きく押し上げる力は乏しい。まったりとした相場に商いは薄まる一方だ。

<日経平均、日中値幅が今年最少>

「地政学リスクでも相場は動かなかった。しばらく先になるが秋のGPIFのポート見直しや消費再増税、日銀の追加緩和といった話が出てくるまでは、こう着相場が続きそうだ」と、大手証券の日本株トレーダーはあきらめムードだ。

ウクライナや中東の地政学リスクが緩和されたわけではないが、マーケットは早くも悪材料を吸収し、「織り込み済み」の展開となってしまった。「世界景気は悪くなく、地政学リスクを端緒としたリスクオフが広がる土壌ではない。しかし、景気がいいわけでもなく、株式など過熱感もあるリスク資産の上値を買える状況でもない」(国内投信)という。

23日の市場で、日経平均.N225は前日比14円高の1万5328円とほぼ横ばい。日中値幅(高値と安値の差)は58円83銭と今年最少となった。東証1部売買代金は1兆4778億円と今年4番目の薄商いだ。オプション価格から計算した日経平均ボラティリティ指数.JNIVは過去最低レベルから持ち直しているものの、相場に動意はみられない。

「地政学リスクが残っているため、買い手は上値を買えず、国内企業決算を控えるため、売り手も下値を売れない。経済指標もまちまちで手掛かりに欠ける。相場がどちらに傾くか多くの投資家は確信を持てないのだろう」としんきんアセットマネジメント投信・運用部長の藤原直樹氏は話す。

<ユーロ/ドル下落はユーロ側の理由>

ドル/円も一段とこう着感を強めている。101円前半を中心としたレンジを一段とせばめており、23日の東京時間で値幅は16銭程度に縮小した。「商いも薄く、仕掛けやすくなっているが、動意はみられない」(国内銀行)という。

ユーロ/ドルの下落が目立っているが、ユーロ安の半面でドル高が進む一方、対ユーロで円高も進んでおり、ドル/円としては動きが鈍くなっている。

「ユーロ/ドルの下落はドル側の材料ではなく、ユーロ側の材料。欧州中央銀行(ECB)による量的緩和を含めた追加金融緩和への期待がある。2012年7月からの上昇トレンドラインを割り込んできており、テクニカル的な売りも出ているようだ」(三井住友信託銀行・為替セールスチーム長の細川陽介氏)という。

<学生ローンが米住宅市場の足かせに>

こう着相場を打ち破るきっかけの1つとして期待されているのが、米経済改善による米金利上昇だ。だが、今年のメーンシナリオとして期待された、その予想は半年経った今も実現されていない。

米経済は寒波の影響から改善しつつあるものの、1─3月期の急減速を埋めて、急上昇できるほどの力強さがないためだ。賃金が上がらず、インフレも押さえられている中、金融緩和の長期化観測も根強い。

実際、米経済のボトルネックとなっている1つは住宅市場だが、その回復は鈍い。

22日発表された6月の米中古住宅販売は年率504万戸(市場予想は497万戸)に増加、8カ月ぶりの高水準となった。

だが、17日に発表された6月の米住宅着工件数は9カ月ぶりの低水準と、経済データは強弱が入り混じっている。

低金利、住宅関連負債の改善など環境は悪くないが、住宅販売の伸びを抑えている1つとみられているのが、学生ローンの多さだ。ニューヨーク連邦準備銀行が5月に発表した2014年第1・四半期の全米家計負債調査によると、家計の負債のうち、学生ローンは2.9%増の1兆1110億ドル。住宅ローンの8兆ドルには及ばないが、自動車ローンやクレジットカードを逆転し、拡大を続けている。

T&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏は「学生ローンが返済しきれていない人の信用リスクは高いと判断され、若年層の住宅取得が難しくなっている。また、初回住宅購入者である若者達は、株価や住宅価格が上昇しても、株や住宅を保有しておらずその恩恵を受けていない。所得も停滞しており、住宅ローンを借りたくても、5%の頭金を貯めるのも難しい」と指摘している。

改善方向にあるが、スピードは緩慢。米住宅市場は、今の米経済を象徴するようだ。世界経済のけん引役とみられている米経済がもたつくなかで、グローバル市場も方向感を見失っている。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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