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焦点:米マクドナルドに相次ぐ逆風、次の懸念はロシア

[3日 ロイター] - 世界最大の外食チェーン、米マクドナルドMCD.Nのドン・トンプソン最高経営責任者(CEO)は過去2年、米国と欧州での売上高を伸ばすことに注力してきた。しかし、直近は同社にとって逆風となるニュースが世界各地で相次ぎ、その対応に追われている。

 8月3日、米マクドナルドは米国と欧州での売上高を伸ばすことに注力してきたが、直近は同社にとって逆風となるニュースが中国などで相次ぎ、その対応に追われている。写真は7月に香港で撮影(2014年 ロイター/Tyrone Siu)

同社は7月後半、中国事業が現地食肉加工会社の食品スキャンダルに巻き込まれたほか、ロシアでは西側による経済制裁に対する報復措置の標的となった。米国内では加盟店での労使トラブルが起きているが、全米労働関係委員会(NLRB)はフランチャイズ本部の同社にも責任があるとの判断を下した。また、先月22日に発表した第2・四半期決算は、利益が市場予想を下回った。

「彼らは3つの大陸で苦しんでいる」と語るのは、投資調査会社ヘッジアイ・リスク・マネジメントの外食産業アナリスト、ハワード・ペニー氏。高い知名度と世界の至る所に存在する普遍性により、マクドナルドは「格好の標的」になっているという。

専門家らは、マクドナルドや米飲料大手コカ・コーラKO.N、小売り最大手ウォルマート・ストアーズWMT.Nなど世界的大企業にとって、こうした混乱は珍しいことではないものの、悪材料がここまで短期間に重なることはあまりないと指摘する。

マクドナルドの広報担当者は「過去数週間、世界各地でわれわれのブランドなどに直接もしくは間接的に影響を与える問題が起きている」と認めたうえで、「当社は120カ国に3万5000店舗を展開し、世界各地に熟練したプロの広報チームを持っている」と説明。世界中のニュースに24時間対処するのは当たり前のことであり、広報チームがこうした問題に取り組んでいるため、会社側としては顧客サービスに意識を集中できるとしている。

トンプソンCEOからのコメントは得られていない。

<没個性>

アナリストや投資家は、最近起きている問題は主として外部的な要因によるものであり、同社の業績にとっては管理可能なリスクだとみている。しかし、競争激化や顧客の嗜好(しこう)の変化、顧客層拡大や売上増を狙ったメニュー多様化によるサービス低下にも直面している同社にとって、一連の問題は頭痛の種となっている。

調査会社ブランド・キーズのロバート・パシコフ氏は、マクドナルドには他社より抜きん出る方法を見つける必要があると指摘。「マクドナルドはデフォルトブランドの域に達した。だが、そこからどうするかだ」と語った。

トンプソン氏がCEOに就任した2012年7月1日以降、マクドナルドの株価上昇率は7%弱で、同じ期間のS&P総合500種指数の上昇率(約42%)を大幅に下回っている。

投資家やアナリスト、フランチャイズ加盟店は同社に対し、「八方美人」を狙うのはやめるよう強く要求。わずかなメニューで人気を獲得しているチポトレ・メキシカン・グリルCMG.Nやイネナウト・バーガーのようなライバルの成功を例に挙げ、メニューの簡素化を求めている。

<食品安全問題>

中国では7月20日、同社の主要なサプライヤーである米食品卸売会社OSIグループの現地法人、上海福喜食品の工場で従業員が床から食肉を拾っている姿や、期限切れの食肉を新鮮な食肉に混ぜている姿がテレビで放映された。

マクドナルドの中国事業は、昨年の売り上げに大きな打撃を与えた食品安全問題と鳥インフルエンザという二重苦から回復しているさなかだった。

マクドナルドは中国で約2000店舗を展開しているが、OSIの中国部門との関係を打ち切った後は、肉製品の供給不足に陥っている。長い間低迷が続いている日本マクドナルドホールディングス2702.Tは、日々の売上高が計画比15―20%減少していることを明らかにした。

<ロシアの懸念>

マクドナルド株を約51万6000株保有する米スミード・キャピタル・マネジメントのビル・スミード氏は中国の食品安全スキャンダルを冷静に受け止めている。しかし、マクドナルドがこの「試練」を切り抜ける間は、同社株の買い増しは控えると述べた。

バーンスタイン・リサーチのアナリスト、サラ・セナトーレ氏によると、マクドナルドは営業利益の約15%をアジア・太平洋、中東、アフリカ地域から計上しており、その中には中国と日本も含まれている。ただ同氏は、今後の大きな懸念材料は、約400店舗を展開するロシアになると指摘する。

ウクライナ問題で西側から制裁を受けるロシアの連邦消費者庁(ロスポトレブナドゾル)は、マクドナルドの一部商品の安全性に問題があるとして、販売を違法と認定するよう求める訴訟を起こした。

セナトーレ氏によれば、欧州は同社営業利益の約35%を占めている。営業利益の国別内訳は明らかにされていないが、「ロシアは最近まで欧州の中で好調な市場の1つだった」と同氏は指摘する。

一方、米国内でも問題は山積している。

米マクドナルドの加盟店従業員は労働組合の支援を受け、賃上げや労働条件の改善を求めて闘っており、全米労働関係委員会(NLRB)の法務顧問は7月29日に明らかになった書簡の中で、労使トラブルはマクドナルド本社にも責任があるとした。

これについて、ミシガン大学ロス・ビジネス・スクールのデービッド・ヘス准教授は、通常長いことかかるプロセスの初期段階に過ぎないと語った。

マクドナルド経営陣は、デジタル広告やメニューの質向上などに取り組み、向こう1年から1年半で売上高を伸ばすとしている。

トンプソンCEOに関して言えば、前述のアナリストのペニー氏は、この危機を乗り越え、長期的な問題を解決する時間を稼ぐだろうとし、少なくとも2015年は引き続き経営の陣頭指揮を執り続けるとの見方を示した。

(Lisa Baertlein記者 翻訳:伊藤典子 編集:宮井伸明)

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