[福島市 26日 ロイター] - 東京電力9501.T福島第1原発事故を受けた避難生活中に自殺した女性の遺族が東電に計約9100万円の損害賠償を求めた訴訟で、福島地裁(潮見直之裁判長)は26日、東電に4900万円の賠償を命じた。
福島地裁は、女性が自殺したのは「避難生活で精神的に追い詰められ、うつ状態になったため」と事故と自殺の因果関係を認めた。
訴えたのは、自殺した女性の渡辺はま子さん(当時58歳)の夫、幹夫さん(64)ら4人。はま子さんは11年7月、避難先から自宅に一時帰宅した際に焼身自殺した。幹夫さんは、ロイターの取材に対し、自殺は福島第1原発を運営する東電に直接責任があると主張していた。
共同通信によると、今回の訴訟で、東電は「原発事故で強い心理的負担が生じたことは認めるが、事故前から睡眠障害で薬を飲んでおり、原発事故以外の原因を考慮するべきだ」と主張した。
判決では、事故前において、はま子さんに「自殺の要因となる精神障害の既往症があったとは認められない」と認定。「展望の見えない逃避生活への絶望と、生まれ育った地で自ら死を選んだ精神的苦痛は、極めて大きい」として、原発事故と自殺の因果関係を認めた。
原告側代理人は判決後の記者会見で、「全面勝訴だ。今後の原発の賠償問題にも、極めて大きな意味を持つ」と述べた。原告の幹夫さんは、判決後、ロイターに対し、「判決に満足している。妻も満足していると思う」と話した。
判決を受けて、東電は「今後は、判決の内容を精査したうえで、引き続き真しに対応していく」(広報部)とコメントした。
*一部表記を修正して再送します。
リサ・トワロナイト 浜田健太郎 編集:吉瀬邦彦
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