[東京 5日 ロイター] - 麻生太郎財務相は5日、閣議後の会見で、10%への消費再増税について、引き上げを見送って市場が混乱した場合の対応が難しいのは確かだと指摘、経済情勢の悪化に備え、補正予算などの準備をしておく必要があるとの認識を示した。
10%への消費増税に関して黒田東彦日銀総裁が、上げない場合のリスクの方が上げた場合のリスクより大きいと発言した事に関しては「黒田総裁は去年も同様の趣旨の話をされていた」とした上で、「世界中は日本が消費税を上げて、財政再建をしながら経済成長をさせる方向で動いていると思っている。それに合わせて国債や株も動いている。(上げない場合は)そこが崩れるという話だ」と指摘。上げない場合は法律改正も伴うため大変だし、話が違うといって市場が動いた場合の「対応が難しいのは確かだ」と述べた。
その上で、消費税率をさらに引き上げるための経済情勢について「直近の(経済の)数字を見ればそんなに悪い数字じゃない」とした上で、「(引き上げを判断する)12月までに情勢を見ながら、もしもの準備はしておかなければならない」と語った。
その場合の対応には補正予算も含まれるかとの質問には「それもある。補正予算も一つの方法だ。経済は生きているので、対応できるようにしておかないと。タイミングがずれたら効果は半減する。準備だけはしておかないといけない」との考えを示した。
<為替、急激な動きは危険>
為替市場で1ドル=105円台まで円安が進んでいることについては「緩かな形で上がったり下がったりするのが正しい。急に上がったり下がったりするのは極めて危険を伴う」との認識を示した。さらに、円安がどこまで進むか「予想する立場にないが、急激に上下するのはもっとも好ましくない」と述べた。
外国人投資家が長期国債先物の相場操縦を行ったとして、証券取引等監視委員会が金融庁に課徴金納付命令を勧告するとの報道については「報道は承知しているが、監視委の個別の事項についてコメントすることはない。市場全体を適切に監視しなければいけない」と述べた。
石田仁志 編集:山川薫
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