[ワシントン 5日 ロイター] - 米労働省が5日発表した8月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が14万2000人増で、伸びは市場予想の22万5000人を大幅に下回り、8カ月ぶりの低水準となった。
今回の統計は、連邦準備理事会(FRB)が利上げ時期を先延ばしする新たな要因となるとの指摘も出ている。
失業率は6.1%で市場予想と一致、前月から0.1%ポイント低下した。労働参加率の低下が一部要因となった。
6、7月分の雇用の伸びは、当初発表より計2万8000人少なかったと修正した。
8月は、製造業の雇用増がゼロとなったほか、小売業が2月以来のマイナスを記録した。
TD証券(ニューヨーク)の次席エコノミスト、ミラン・ムルレーン氏は「労働市場はこれまでフル回転で回復してきたが、ここにきて息切れしているようだ」と述べた。
ただ一部のエコノミストは、8月の雇用統計は季節的な変動要因を調整するうえで問題が生じるため、市場予想に届かない可能性を指摘していた。過去には、上方修正されるケースが目立つ。
FRBのイエレン議長は、賃金上昇の伸びが弱含んでいることや、正規雇用にありつけずパートタイム労働を強いられる人、長期失業者数が依然高止まりしていることに懸念を示す。
FRBはこうした指標について、労働力の著しい活用不足を裏付け、景気刺激的な金融政策が有効との認識を示している。
労働参加率は62.8%と、前月の62.9%から低下した。
ただ、本人の意に反して職探しをあきらめた人や、正規雇用を望みながらパートタイムで働く人を含めたU6失業率は12.0%に低下、2009年10月以来の低水準となった。長期失業者数は2009年1月以来の低水準だった。
時間当たり賃金は0.06ドル増加した。前年比で2.1%伸びた。
平均週間労働時間は34.5時間と、6カ月連続の横ばいだった。
民間部門が、雇用増の大部分を占めた。製造業は1年ぶりの低水準だった。自動車が弱含んだ。建設業は8カ月連続で伸びた。
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