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インタビュー:消費再増税、国債格付けにプラスとは限らず=S&P

[東京 29日 ロイター] - スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)のソブリン格付ディレクター(日本国債担当)、小川隆平氏は28日に行ったロイターとのインタビューで、来年10月に予定されている消費再増税について、日本の国債格付けにとってプラスになるとは限らないとの認識を示した。名目成長率が低迷する中で、経済成長の芽を摘むことになりかねないことを懸念している。

 10月29日、S&Pのソブリン格付ディレクター(日本国債担当)、小川隆平氏は28日に行ったロイターとのインタビューで、来年10月に予定されている消費再増税について、日本の国債格付けにとってプラスになるとは限らないとの認識を示した。写真は、S&Pのロゴ、2013年撮影(2014年 ロイター/Brendan McDermid)

一方、再増税を見送った場合、財政再建に遅れが生じることは格付け上のマイナス材料としながらも、経済成長への期待が強まればマイナスの度合いが薄まる可能性があると指摘、マクロ動向を注視していく考えを示した。

<消費増税は対症療法にすぎない>

小川氏は日本の財政再建について、名目国内総生産(GDP)の伸び悩みに加えて、国家予算の歳出で大きなウエートを占める社会保障費の削減といった抜本的な財政改革が遅れていることを危惧している。その上で「消費増税はあくまでも対症療法にすぎない」と強調した。

今年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた後、景気が大きく落ち込み、4─6月期実質国内総生産(GDP)2次速報は、年率換算で7.1%のマイナス成長を記録した。小川氏は「再増税は経済成長の芽を摘むことになりかねない」と話す。

政府が再増税の判断を下したとしても、「法人税減税の前倒しや財政出動といった経済対策が必要で、財政悪化ペースをスローダウンさせることができても一時的で、格付け上は必ずしもプラスにならない」との見方を示した。

一方、再増税の先送りで財政再建に遅れが生じることは、格付け上のマイナス材料。しかし、小川氏は「経済成長への期待が強まれば、マイナスの度合いが薄まる可能性がある」と述べ、マクロ動向を注視していく考えを示した。

<日銀による大量国債保有、金利急騰リスクを懸念>

小川氏は日銀の「量的・質的金融緩和(異次元緩和)」に言及し、今後は異次元緩和によるマクロ経済への有効性とマーケットに対するネガティブな影響がクローズアップされてくるとの見方を示した。

日銀はすでに大量の国債を保有しているが、小川氏は、異次元緩和策が長期化した場合、そのリワインド(巻き戻し)の局面で国債金利の急騰リスクがあると懸念している。「どういう形のエクジット(出口)になるのか。その時のマクロ経済や財政の状況によって、クレジット上、非常に大きなリスク要因になる可能性がある」と述べた。

<アベノミクスで前向きの変化、財政改革を期待>

S&Pは2011年1月に、日本ソブリンの外貨建て・自国通貨建て長期ソブリン格付けを「AA」から「AA─」に引き下げた後、同年4月にアウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更。それ以降、3年半にわたって格付けアクションを起こしていない。

この間に 安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」がスタート。小川氏は、これまでの硬直化した経済・財政政策に前向きの変化が出てきたことで、「民主党政権末期に比べると、格下げ圧力が和らいでいる」との認識を示した。しかし、大きなトレンドでみると、財政悪化に歯止めがかかったわけではなく、経済成長やインフレ見通し、成長戦略の実行性といったざまざまな面で不安要因を抱え、格付け上は決して安心できる状況ではないとした。

各メディアが報じている最近の世論調査で内閣支持率が低下し、安倍首相の求心力低下が懸念されている。小川氏は「国会空転や与野党からの批判などで、政策の立案・実行に支障が生じるようだと、格付け上ネガティブになる可能性があるとの見方を示した。しかし、与党は衆院で過半数を占めており、「3党合意に基づく社会保障と税の一体改革を含めてやるべき政策をしっかりとやらないといけない」と警鐘を鳴らした。

*本文中の誤字を修正して再送します。

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