[上海 28日 ロイター] - 米アップルAAPL.Oは中国のスマートフォン市場において、低価格、オンライン販売で追い上げるライバル社、小米科技(シャオミ)を見事にかわした。実店舗の開設を強化し、ブランド価値を守る戦略が功を奏した形だ。
アップルの第1・四半期(10─12月期)決算は市場予想を大きく上回り、「iPhone(アイフォーン)」の販売台数は過去最高を記録、中国での売上高は70%も伸びた。
シャオミ、韓国サムスン電子005930.KSなどに対抗してなぜ安いスマホを発売しないのか、と1年前には批判を浴びたアップルだが、見事なしっぺ返しとなった。
ストラテチェリー・ドット・コムのアナリスト、ベン・トンプソン氏は「アップルにとって、長期的にはシャオミの方がサムスンよりも大きな脅威になるだろう」とした上で、「しかしアップルの戦い方はさらに差別化を図るものであり、低コストというシャオミの土俵で競うことではない」と語った。
アップルは2016年までに中国で約20店舗を新設する計画。それもシャネル、エルメスといった高級ファッションブランドが軒を連ねる派手な立地を選ぶ可能性が高い。
アップルにとって実店舗販売はプレミアムイメージの維持に役立ち、羨望の的である高い収益率を確保するのに不可欠な、高価格での販売を可能にしてくれる方法だ。店舗では商品だけでなく、サービス、包装までが提供される。
江蘇州の公務員、Shi Xinchaoさん(24歳)は「オンラインでしかアップル製品を買えないとすれば、ユーザーは今と同じような経験ができなくなるから、これほど熱心に買いたがらないかもしれない。だって高いんだから」と話した。
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しかしアップルにとって今後、第1・四半期並みの増益を繰り返すのは難しいかもしれない。同期の業績には、大型スクリーンのアイフォーン導入と、2013年末に実現した通信大手、中国移動(チャイナ・モバイル)0941.HKとの提携が功を奏した。
調査会社カナリスの調査ディレクター、ニコール・ペン氏は「消費者は大型スクリーンのアイフォーンを長年待ち焦がれていた。需要が蓄積し、アップルはそれに応じられていなかった」と指摘する。
カナリスのデータによると、アップルは昨年10─12月期に中国でのスマホ販売台数で首位に躍り出た。
しかし中国事業の次のけん引役が何なのか、長期的に見てシャオミの攻勢をかわせるのかについては、既に疑問の声が出ている。
シャオミは今月、アップルの大型画面スマホ、「アイフォーン6プラス」に対抗する商品「Mi Note」を発表した。価格は16ギガバイツの機種で2299元(371ドル)と、6プラスの3分の1程度だ。
シャオミは最初のスマホ発売から3年と日が浅いが、自社スマホと互換性のある他の家庭用デバイスなどの導入にも動いている。ユーザーを引きとめる狙いだ。
ガートナーのアナリスト、C・K・ルー氏は「これによって若年世代で低所得のユーザーがアップルなど他のブランドに逃げるのを食い止めることができるかもしれない。大型画面はアップルの大きな軸となったが、次に続くのは何だろう。それが知りたい」と話した。
(Adam Jourdan記者)
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