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焦点:世界的な株高値更新に4つの背景、金利「消滅」が下支え

[ロンドン 18日 ロイター] - 戦争や金融危機の脅威、デフレといった数々の悪材料に見舞われているにもかかわらず、世界の主要株式市場は年初来、淡々と過去最高値や数年ぶりの最高値を更新し続けている。

 2月19日、戦争や金融危機の脅威、デフレといった数々の悪材料に見舞われているにもかかわらず、世界の主要株式市場は年初来、淡々と過去最高値や数年ぶりの最高値を更新し続けている。写真は、ニューヨーク証券取引所、18日撮影(2015年 ロイター/Brendan McDermid)

この背景として投資家の慢心や中央銀行の量的緩和による資産バブルなど、様々な解釈が成されているが、案外単純な4つの理由で説明が付くのかもしれない。

ウクライナでは紛争の火種がくすぶり、ギリシャのユーロ離脱が現実味を帯び、世界中で消費者物価のデフレが進行しているが、米国からフランクフルト、ロンドンに至るまで、株価は高値を更新。史上最長級の強気相場が進行している。

この背景には4つの大きな要因がある。(1)目覚ましくはないが着実な世界の経済成長(2)超金融緩和策と、中銀が新規供給する大量のマネー(3)国債利回りがゼロやマイナスに低下する中での、配当利回りの相対的魅力の高さ(4)エネルギー価格急落による景気刺激効果──の4つだ。

世界の経済成長率は常に国別や国内の格差を覆い隠すものだが、それでも多国籍企業が世界での製品需要を測る際の重要な指標であることには変わりない。

国際通貨基金(IMF)は先月、2015年の世界成長率見通しを3.5%に引き下げた。それでも昨年に比べれば高い上、過去10年間の平均を0.2%ポイント下回るに過ぎない。

景気が停滞していることは疑いの余地がないが、崩壊状態とは程遠い。米国、日本、ドイツ、英国の昨年第4・四半期の成長率は年率平均2.4%、中国やインドは2014年通年の成長率が7%を超えている。

これら6カ国が世界の生産の50%を占めることを踏まえれば、こうしたマクロ情勢の下で企業利益が着実な伸びを示すのも不思議ではない。

米S&P500種総合指数の構成企業の大半が第4・四半期決算の発表を終えた今、70%以上の社で利益が予想を上回り、増益率は約6.6%となっている。また、現時点で決算発表を終えた欧州企業は約半分で、うち約60%が予想を上回り、増益率は米国の約2倍の11%超だ。

<消滅する債券利回り>

しかも世界中で短期金利や国債利回りが「消滅」し、マイナスに転じるケースもある中で、企業の着実な増益は投資家を株式へと引き付け続けるだろう。

欧州に経済、政治面の懸念が集中しているにもかかわらず、欧州株が好まれている背景には大きな理由が一つある。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの月次投資家調査によると、ユーロ圏株式に対するエクスポージャーは2月に急増し、2007年5月以来で最高となった。過去2番目の大きさだ。

同行の欧州株式ストラテジスト、マニシュ・カブラ氏は顧客に対し「ベア(弱気派)は一匹残らず消え失せたようだ」と語った。

2桁台の増益、自動車販売の盛り返し、エネルギー価格の下落、ユーロ下落による競争力の向上など好材料は多いが、中でも欧州中央銀行(ECB)が来月から開始する国債買い入れ型量的緩和の効果を先取りし、ユーロ圏の国債の4分の1以上で利回りがマイナスに沈んだことが大きい。

重要なのは、ユーロ圏の優良株指数、STOXX50種指数構成企業の配当利回りが年率3.5%近くと、ギリシャを除くすべてのユーロ圏の期間30年までの国債利回りを上回っていることだ。

ベアリング・アセット・マネジメントのクリストファー・メーホン氏は、この差が株価上昇の「隠れた源泉」だと指摘。「欧州株が上昇するのに好況である必要はない」と話す。

欧州以外の地域でも状況は似たり寄ったりで、米国が利上げに向かう中でも、ECBと日銀の量的緩和および実質ゼロ金利政策による影響が世界中の市場に「漏れ出して」いる。

多くの市場関係者が依然としてリスクを警戒し、株式を慎重に買い進めていることも、株価上昇に最適な環境をもたらしているのかもしれない。その意味で言えば、各種調査で突如として楽観論が高まっていることには注意を要する。

(Mike Dolan記者)

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