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インタビュー:新電力エネット、来春に家庭向け参入へ=池辺社長

[東京 13日 ロイター] - 新電力最大手エネット(東京都港区)の池辺裕昭社長は13日、ロイターのインタビューで、来年4月の電力小売り全面自由化を機に家庭や小規模店舗など小口の利用者を対象とした電力販売を始める意向を明らかにした。

 3月13日、新電力最大手エネット(東京都港区)の池辺裕昭社長は、ロイターのインタビューで、来年4月の電力小売り全面自由化を機に家庭や小規模店舗など小口の利用者を対象とした電力販売を始める意向を明らかにした。フランスで3月撮影(2015年 ロイター/Christian Hartmann)

池辺社長は、来年4月までは新電力が供給できない小規模店舗向けなど、50キロワット未満の低圧需要向けの販売に「ぜひ参入したい」と述べた。同様に現在は大手電力に限定されている家庭向けにも本格参入するとしている。

そのうえで「安い電気がほしい顧客もいるし、(再生可能エネルギーによる)100%グリーンの電気がほしいという家庭もあると思う。要望を実現できる電気を揃えていきたい」と強調した。

<全国10位の電力会社>

エネットは2000年7月、NTT9432.T子会社のNTTファシリティーズ、東京ガス9531.T、大阪ガス9532.Tの出資で設立。電力会社の規模を示す販売電力量は約100億キロワット時(2013年度)と、沖縄電力9511.T(75億キロワット時)を上回り、「(全国で)10番目の電力会社」(池辺社長)に成長した。

4年前の東日本大震災で東京電力9501.Tが深刻な供給力不足に陥ったことや、電力各社の電気料金値上げをきっかけに供給先の施設数が急ピッチで拡大。「震災後、エネットから供給してほしいとすごい数の問い合わせをいただいた」という。

<マンション向けで商戦先行>

現状では小規模店舗や家庭は東電など地域独占の大手電力会社からしか電気を買えないが、昨年の電気事業法改正によって来年4月からエネットなどの新電力からも買うことが可能になる。

ただ、来年4月を待たずともマンション向けでは事実上、新電力による家庭向けの販売が始まっている。「エネットが、マンションの入り口でNTTファリシティーズに高圧(50キロワット以上)で電気を売り、NTTファシリティーズがそれを低圧に変えて、(家庭に)サービスを提供している」というビジネスモデルだ。

既に約300のマンション(約3万戸)を対象に同サービスを提供。池辺社長は「全面自由化によってそうしたサービスが戸建ての家庭にも可能になる」と述べた。

<エネルギーとITの融合目指す>

NTT出身の池辺社長が、電気事業で新たな付加価値を生み出すと強調するのがIT(情報技術)の活用だ。例えば、供給ひっ迫時に節電に協力した利用者に、ポイントの付与といった経済的メリットを与えることで節電を動機づけて需給調整を図る「デマンドレスポンス」がその一つ。刻々と変動する電力需給に対応するために、IT活用が必要になる領域だ。

池辺社長は、「マンションの家庭の顧客では工夫によって、(各戸の需要の)ピークが2、3割くらい下がることが確認できている」と、効果を説明する。

<電源確保の課題克服できるか>

デマンドレスポンスを通じて確保した節電分は、発電した電力量と同等の価値があるとみなして取引の対象にするのが「ネガワット取引」だ。経済産業省は、電力システム改革の詳細設計で導入の方向で検討を進めている。「ぜひネガワット市場を作って、活用される仕組みを作るべきだと国に主張している」という。

供給力確保は新電力にとって切実な課題だ。2000年3月に電力小売り市場は大口需要家を対象に部分的に開放されたが、自由化対象市場でエネットなど新電力が獲得したシェアは4.2%(13年度)に止まる。低調が続いたのは、新電力が大手に対抗できるような電源を確保できなかったことが主因とされる。

ただ、エネットの場合、東京ガスなどの出資元から比較的まとまった規模の電源を調達できるため、新電力に限れば5割近い市場シェアを確保できたという背景がある。

池辺社長は「日本の発電所の大部分は電力会社が持っていて、その電気が市場に出ることが重要だ」と述べたうえで、日本卸電力取引所(05年4月取引開始)の活性化が重要になると指摘する。

「(同取引所で)扱われている電気は全体の1、2%。実際に電気を買おうとしても量は少なく、信頼できる価格指標ができにくい。新規参入者が競争できる仕組みが整わないと自由化は活性化しない。例えば、大手電力会社の電気の30%は必ず市場に出す仕組みを(政府に)お願いしたい」としている。

ただ、政府の制度設計に大きく依存すると業容拡大に限界が生じる懸念もある。池辺社長は、顧客の選択を重視しているという。

「とにかく安い電気を求める顧客もいるので、(石炭火力などの)ベース電源が要る。あるいは、グリーン100%の電気を望む家庭もある。顧客の要望を実現できるような電気をそろえていきたい」と話す。

課題である電源調達については「エネットの調達先は(出資元所有の発電所や自家発電余剰分など)150カ所以上だ。メガソーラーや家庭のソーラーも供給力としては期待できる。取引市場の制度的な促進などを組み合わせて供給力を確保していく」と述べた。

(インタビュアー:浜田健太郎、月森修)

浜田健太郎 編集:石田仁志

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