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焦点:ドル全面高に修正の動き、FRBの懸念を市場が「察知」

[東京 19日 ロイター] - 外為市場で一本調子のドル高期待に修正の動きが出始めた。米連邦公開市場委員会(FOMC)声明やイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の会見を材料に、FRBがドル高への懸念を強めていると市場が「察知」したためだ。

 3月19日、外為市場で一本調子のドル高期待に修正の動きが出始めた。写真はイエレンFRB議長。18日撮影(2015年 ロイター/Joshua Roberts)

ただ、ドル/円JPY=EBSは公的資金や民間投資家の対外投資意欲が旺盛なため、下押し余地は限定的との見方も多い。

<ドル高懸念をギア・アップ>

18日のFOMC声明では「輸出の伸びが弱含んでいる」との文言が新たに付け加えられ、その後の会見では、イエレン議長が「強いドルはおそらく、輸出の伸び悩みの原因の1つ」と解説した。

「声明に『輸出の弱さ』をわざわざ盛り込み、イエレン議長が会見で、その一因がドル高にあるとしたのは、FRB内でドル高に対する懸念が鮮明化していることを示唆している」と、JPモルガン・チェース銀行のチーフFX/EMストラテジスト、棚瀬順哉氏は分析している。

1月のFOMC声明議事録では、利上げ前のハードルとして「国際情勢への配慮」という文言が加わったが、それが何を意味するかについては意見が分かれた。一部のアナリストの間では、「国際情勢」とはすなわち「ドル高」を意味すると解釈されていたが、今回はより明示的に表現を「一段階」引き上げたとみることができる。

<米財務省は微調整>

ただ、気を付けなければいけないのは、FOMC議事録ではドル高に対する心配が断続的に出てきているが、米財務省のスタンスに顕著な変化が認められないことだと、みずほ銀行・チーフマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏は指摘する。

4月半ばの米財務省為替報告書で明確なドル高けん制が示された場合には「ゲームのルールが変化し、円安/ドル高のシナリオが描きにくくなる」可能性があるとみている。

ルー米財務長官は2月上旬、ドル高が進んでいることについて「ドル高は周辺国が成長策を進めている時は機能するが、海外の需要が落ちると、グローバルに展開する米企業はダメージを受ける」との見解を示した。

これまでのドル高容認姿勢を微調整した格好だが「米経済の力強さを反映している」とも述べており、あくまで微調整の範囲だ。

イエレン議長は前日の会見の中で「強いドルはインフレを押し下げる」とも述べている。市場では「ドル高自体が金融引き締め効果を発揮し、輸出を押し下げ、景気下振れリスクを高める一方で、輸入インフレを抑制しインフレ目標の達成を遠ざけるという構図を確認した」(国内銀行)とみられている。

<円安を支えるマネーフロー>

18日の市場では、米当局者のドル高懸念に加え、FOMCの結果が総じてハト派的になったことで、米金利が急低下する中、ドルが主要通貨に対して全般的に売られ、ユーロ/ドルEUR=EBSは1.10ドル半ばと約2週間ぶり水準まで急反発した。

ドル高に対する懸念が鮮明になったことで、短期的には、ユーロなど主要通貨ペアはいったん調整局面に入る公算が大きい。

ただ、ドル/円JPY=EBSに関しては、円高圧力がそれほど高まらないとの見方が多い。国内勢の対外直接投資や対外証券投資がフロー面での下支えになるとみられているためだ。

財務省が19日に発表した3月8日─3月14日の対外及び対内証券売買契約等の状況によると、本邦勢による対外株式投資は5106億円の買い越し。買い越しは17週連続。対外中長期債投資は5511億円の買い越し。買い越しは8週連続となった。

GPIFなどの公的投資家も既に外貨建て資産の運用拡大に動いているほか、新年度になれば、機関投資家の運用計画でも、外債シフトが明確になるとみられる。円売りフローが確実に見込めるため、みずほ銀の唐鎌氏は「ユーロ/ドルの上値を期待するほど、ドル/円の下値を期待しない方がいい」との見方を示している。

森佳子 杉山健太郎 編集:田巻一彦

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