[23日 ロイター] - 10年前の4月23日、1本のビデオが動画投稿サイト「ユーチューブ」に初めてアップロードされた。それ以降、米グーグルGOOGL.O傘下となったユーチューブは今に至るまで、オンライン動画共有サービスの市場を支配し続けている。
しかし、それはいつまで続くだろうか。
米フェイスブックFB.Oは22日、利用者の1日当たりのビデオ視聴再生回数が40億回に達したと発表した。昨年9月の同10億回、今年1月の同30億回から右肩上がりで伸びている。
同社が同日発表した第1・四半期決算は、売上高成長率が過去2年で最も低くなったが、ビデオ視聴回数の伸びは、少なくとも証券会社9社が同社の株価目標を引き上げるのに十分な根拠を提供した。
ほぼすべてのアナリストが、フェイスブックの売上高を伸ばす最も有望な分野の1つとして、動画広告を挙げている。
RBCキャピタルマーケッツのマーク・マハニー氏は「ビデオおよびモバイルの広告需要について、インターネットはある種の変曲点を迎えており、フェイスブックがこの変化の唯一最大の受益者となるだろう」と語った。同氏は、フェイスブック株の目標株価を88ドルから105ドルに引き上げている。
グーグルは、ユーチューブの視聴者数や売上高に関する詳細は公開していないが、2012年1月に1日の動画再生回数が40億回だと明らかにしていた。
証券会社コーウェン・アンド・カンパニーは、ユーチューブの1日の動画再生回数が年内に79億回に達し、59億ドルの売上高をもたらすと予想。フェイスブックの動画広告収入については、今年は約10億ドルと予想している。
フェイスブックは、2014年3月に自動再生動画広告を導入した。
コーウェンのアナリストは顧客向けリポートで「フェイスブックは一流のデジタル/モバイル動画プラットフォームに変貌しており、動画再生は爆発的に伸びている」と指摘。目標株価は91ドルから94ドルに上方修正した。
第1・四半期は、同社の広告収入全体の73%をモバイル広告が占めた。この数字は、前年同期は59%だった。
シェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)は、22日のアナリスト向け決算説明会で「今後、マーケティング担当者をさらにモバイルに呼び込むには動画が大きな役割を果たすと考えている」とし、「フェイスブックの動画視聴の75%以上はモバイル上であり、モバイル動画は時間とともに重要性を増すだろう」と語った。
フェイスブックの第1・四半期は、売上高が前年比42%増の35億4000万ドルで、株主帰属純利益は同20%減の5億0900万ドル。売上高は事前予想に届かなかった。
広告収入は同46%増の33億2000万ドルだった。
バークレイズ・キャピタルのアナリストは「広告収入の堅調な伸びが続いているなか、動画広告の完全な収益化はまだ始まったばかりのように見える」としている。
(Abhirup Roy記者、Tenzin Pema記者、翻訳:宮井伸明、編集:伊藤典子)
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