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焦点:新時代の設備投資GDP押し上げ、ネット通販やIoT躍進

[東京 8日 ロイター] - 2015年1─3月期の国内総生産(GDP)の2次速報値が前期比年率3.9%と1次速報から大幅に上方修正となった原動力は、民間設備投資だった。中でもインターネット通販の急速な拡大に伴う流通革命や工場ロボット化などのIoT(インターネット・オブ・シングス)関連投資が急展開。新時代の設備投資が日本でも「開花」する予兆を感じさせている。

 6月8日、2015年1─3月期の国内総生産(GDP)の2次速報値が前期比年率3.9%と1次速報から大幅に上方修正となった原動力は、民間設備投資だった。都内で3月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

<リーマンショック後初の年率70兆円ぺースの設備投資>

1─3月期の設備投資は、前期比・年率でプラス11%の伸び。名目金額では年率換算で70兆円強となり、昨年同期の消費増税前の駆け込み需要発生時期を除くと、リーマンショック以来、初めて70兆円を超えた。

安倍晋三政権は成長戦略として2015年度の設備投資額目標額を70兆円と掲げており、この水準が持続すれば、実現の可能性が高まる。

<ネット関連で目立つ物流投資>

設備投資の中味は、1─3月期法人企業統計をみると、新たな時代の到来を感じさせる新しい経済活動に裏打ちされた内容が目につく。

最も特徴的なのは、インターネットを利用した通販の急拡大に伴うロジスティック関連投資の急増だ。ネット通販企業だけでなく、小売業も新たな投資に動き出している。

ニトリホールディングス9843.Tでは、ネット販売拡大への対応や多様化する商品の種類に対応した物流効率化を目指し、今年下期に兵庫県神戸市に新物流センターを着工、続いて埼玉県幸手市に同社最大規模の新物流センターを建設する予定だ。

ファーストリテイリング9843.Tは都心での物流展開をにらみ、大和ハウス工業1925.Tと組んで有明地区に大型物流センターを建設する予定。オンライン販売やモバイルでの販売も取り込み、顧客ひとりひとりの需要に即したサービスを視野に入れる。

さらにリアルタイムで店舗と倉庫をつなぎ、最短配送を可能とする。まさしくIoT時代にふさわしい展開を目指している。

<動き出したIoT投資>

製造業では、生産自動化関連投資が電機を中心に押し上げている。たとえば、三菱電機6503.Tが構築する「eファクトリー」というプラットフォームに参加する企業では、設計・開発から生産・保守にわたって全体のコストを削減し、生産工程を最適化できる。

すでに100社以上が参加、「製造ラインを中心にした取り組みをやってきたが、ここ2、3年は設計に拡大し、後半工程の予防保全の領域にも範囲を広げている」(FAシステム事業本部の山本雅之・副事業本部長・5月1日のロイターインタビューから)という。

製造業の間では、こうした共通のプラットフォームを活用して工場内や納入先、調達先企業とのデータ共有化による最適生産・在庫管理投資が広がりを見せ始めている。

<円安起点の国内回帰、設備投資に波及>

他方、このところ進行している円安は、製造業の国内生産回帰に伴う投資拡大をもたらしている。輸送用機械では、新型車を対象とした海外生産工場の既存生産ラインの限界的拡大部分を国内生産強化で対応しようとしている。

トヨタ7203.T、ホンダ7267.Tなどによる世界戦略車種の輸出再開計画が報道されているほか、日産自動車7201.Tなども柔軟な生産体制を図るもようだ。

このほか、円安効果はインバウンド観光客増大への対応でも設備投資を本格させ、ホテル改修投資やテーマパークの拡大投資などにつながっている。

政策当局では、こうした動きについて「円安に伴う国内生産強化は、かなり広がりを見せている。しかも既存の生産設備の更新にとどまらず、新商品対応の投資が中心だ」と、期待を寄せている。

<国内の設備投資と綱引きの外需>

民間エコノミストからは、昨年から3四半期連続で設備投資が増加してきたことを踏まえ「想定以上に設備投資が底堅った印象」(バークレイズ証券)との声がある。

また、「民間企業設備投資が3四半期連続で改善しており、かつそのペースが加速した姿が確認できるなど、鈍いとされてきた消費税増税後の民間最終需要への評価についても、上方修正をすべきであろう」(農林中金総合研究所)と、景気に対して前向きな見方も出てきた。

ただ、設備投資が持続的に高い伸びとなるかどうかは、内外の需要動向に左右される面がある。短期的には、4─6月期は機械受注統計の見通しからもみて、いったん踊り場が予想されている。

さらに「中国経済の停滞など海外需要が最大のリスク」(政策当局)となっている中、企業収益や輸出向け需要の変調も懸念材料から外せない。

足元で見通せるのは、好調さを見せてきた内需と、米中など世界経済に不透明感が残る外需の「綱引き」だ。どちらの力が勝るのか、今の段階では予断を許さない。

ようやく回復してきた個人消費や住宅投資といった内需が、どこまで新たな投資を誘発できるのか。IoTを意識した新時代の投資がどこまで伸びるのか。間もなく発表される安倍政権の2015年度版成長戦略による後押しも期待される。

中川泉 取材協力:村井令二 編集:田巻一彦

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