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焦点:債券売りが実体経済に影響、米利上げ先送りも

[ニューヨーク 12日 ロイター] - ここ数週間の債券売りが、住宅ローン金利など各種金利の上昇という形で米消費者や企業に影響し始めている。こうした状況が続く場合には、米連邦準備理事会(FRB)が警戒感を強めるのは必至で、向こう数カ月以内の実施とも見込まれている利上げが、一段と先延ばしされる可能性もある。

 6月12日、ここ数週間の債券売りが、住宅ローン金利など各種金利の上昇という形で米消費者や企業に影響し始めている。写真はFRB本部。昨年10月撮影(2015年 ロイター/Gary Cameron)

住宅ローン金利は1年半ぶりの高水準となり、自動車ローンの金利も上昇。企業の借り入れコストも、あらゆるセクターで急上昇している。

指標となる米国債利回りは今月、2.13%から最大で2.49%に上昇した。こうしたなか、FRBは来週、米連邦公開市場委員会(FOMC)を迎える。当局者はこの場で、債券売りがどのくらい続くのか、またそれが景気回復をどの程度遅らせるのか議論する見通しだ。

超緩和的な金融政策が長引き、金融の状況がタイト化している証拠は、利上げを視野に入れたFRBには歓迎すべきニュースと言える。

ただ、FRBが懸念しているのは2013年の再現だ。当時のバーナンキFRB議長が債券買い入れを近く縮小すると示唆、市場が混乱し、景気回復が脅かされた事件は、市場関係者の記憶に新しいだろう。

投資家やエコノミストは、10年物米国債利回りが近く2.75%を突破して上昇するようなら、FRBは警戒感を強めるとみている。

<FRB当局者の慎重発言相次ぐ>

米国では雇用関連の指標が引き続き堅調なことから、FRBは年内の利上げを想定。エコノミストの間では9月利上げとの予想もある。

しかし、FRBが重視する住宅、自動車分野に金利上昇の影響が出ているうえ、生産性統計は振るわず、賃金もなお伸び悩んでいる。こうしたなかでタルーロ理事は、市場には売りに耐えられるほどの流動性があるのか懸念を表明。FRB当局者の慎重な発言が目立ち始めている。

ブレイナードFRB理事は「われわれは海外からの逆流を経験しており、景気回復に影響している。政策対応にも影響する」と指摘した。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、社債などを含む市場の反応が強過ぎるようなら引き締めをより緩やかにする、との姿勢を示した。

こうした一連のコメントは、債券売りが夏も続き、実体経済が引き続き引き締められた場合のFRBの対応を示唆するとの解釈も可能だ。

ただドイツ銀行証券のチーフエコノミスト、ピーター・フーパー氏は「現時点では、FRBが(利上げを)長期的に見合わせることはないと考えている」という。「最近の弱気発言は、期待通りの経済指標が出るまでの間は、アクセルを踏み込まないでおく、ということだ」とみている。

Jonathan Spicer記者 翻訳:吉川彩 編集:田中志保

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