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TPPで関税引き下げ、価格下落で壊滅的打撃=日本養豚協会長

[東京 12日 ロイター] - 日本養豚協会の志澤勝会長はロイターのインタビューで、環太平洋連携協定(TPP)によって、豚肉の関税が報道されている程度引き下げられた場合、国内豚肉価格が大幅に下落し、養豚業は壊滅的な打撃を受け、廃業が続出する懸念があると述べた。

 6月12日、日本養豚協会の志澤勝会長は、TPPで関税引き下げとなれば価格下落で壊滅的打撃を受ける可能性があると指摘。写真は都内の精肉店の様子、2月撮影(2015年 ロイター//Yuya Shino

<関税引き下げなら豚肉相場急落で廃業続出も>

TPPの農産品をめぐる日米協議の内容は明らかになっていないが、一部報道では、豚肉の関税のうち最も安い部位にかかる関税が、1キロ当たり482円から最終的には50円まで引き下げられる案が有力とされている。 

これについて同会長は「日本の豚肉の相場は、安く輸入された豚肉の価格に合わせて大幅に下がる。日本の養豚業は生産コストや環境コストがアメリカと比べ高く、その(下がった価格の)レベルで生産できる人は少ない。結果として日本の生産者は半分くらい止めてしまうかもしれない」と懸念を示した。

内閣官房は2013年3月、TPP交渉で関税が撤廃された場合の豚肉に対する影響の試算を公表した。それによると、外国産豚肉の価格は国産の4割程度で、国産との品質格差も小さいとし、関税が撤廃されると、国産の3割を占める「銘柄豚」以外の70%が外国産豚肉に置き換わると想定。生産減少額は4600億円に上ると試算した。

養豚協会によると、養豚に依存している食肉処理場の運営、飼料などの関連産業にも、大きな影響を及ぼすことが懸念されるという。

<TPPで関税引き下げなら、何らかの「応援」必要>

TPPで関税が撤廃もしくは引き下げられた場合、現在の養豚業者を維持するためには、どのような補償が必要かについて、同会長は「補助金漬けにすればいいということではない」としたうえで、「今、TPPで関税ゼロにして裸で戦えるのか、といっても戦えない。だったらそれなりの形で応援してください、ということ」と述べたが、具体的な要望には触れなかった。

<安全保障上も重要な産業>

同会長は畜産業には安全保障上の役割もあると指摘。「株式会社が農業に参入したとしても、北海道の知床の先の極寒の地でやることはありえない。沖縄の尖閣諸島の近くでやることもない。国境を守っているのは畜産であり、国の安全保障上も重要な産業なんだ」との見方を示した。

食料安保という面でも「日本の食料自給率をこれ以上下げた場合、何かあっても、米国は日本のために食料の安定供給をしてはくれないだろう。日本の食料供給は不安定になり、日米安保にとっても、日本は極東の危ない国になってしまう」と警鐘を鳴らした。

同協会によると、世界の豚肉の輸出余力(生産量から国内消費量を引いたもの)は、部分肉換算ベースで約400万トン。そのうち日本がアメリカやメキシコなどから輸入しているのは80万トンと20%にあたり(2013年のデータ)、日本は世界最大の豚肉輸入国となっている。

同会長は「日本で豚肉の生産者が減った場合、その分を輸入できるかというと、世界にそこまでの余力はない」と指摘。養豚業者が減り、豚肉の供給を海外に委ねることになれば、将来にわたって日本に豚肉が供給される保証はないと指摘した。

*写真を差し替えました

宮崎亜巳 編集:田巻一彦

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