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コラム

コラム:内政挫折のオバマ氏が狙う外交「遺産」

[25日 ロイター] - ギリシャ問題に世界の注目が集まるなか、オバマ米大統領に最も重大な局面の1つが今まさに訪れようとしている。

 6月25日、2012年に再選してから国内政策でほとんど成功を収めていないオバマ大統領にとって、イラン核問題やTPPなどが最大の成果となるだろう。写真はホワイトハウスで撮影(2015年 ロイター/Jonathan Ernst)

数日のうちに、オバマ大統領はイラン核問題で歴史的な合意を確かなものにするだけでなく、2つの画期的な国際貿易協定の前提となる「大統領貿易促進権限(TPA、通称ファストトラック)」法案に署名する可能性が出てきた。TPA法案によって、米当局者らが21世紀の世界経済の「交通規則」と呼ぶものを米国がつくり上げることが可能となる。

イラン核問題と共に、環太平洋連携協定(TPP)と環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)の締結は、2期目のオバマ大統領にとって最大の成果となるだろう。この2つの協定が締結されれば、世界の国内総生産(GDP)でそれぞれ40%と50%を占める国々の経済とつながり、アジア太平洋、南北米大陸、欧州に米国の影響力を浸透させることができる。任期が終わりに近づくなか、こうした勝利はオバマ氏の大統領としての「遺産」の主要な部分となるだろう。

オバマ大統領2期目の功績が、国内問題より外交にあると定義されつつあるが、これは近年の大統領に比較的共通していることだ。2012年に再選して以降、オバマ大統領は国内政策でほとんど成功を収めていない。

オバマ大統領の銃規制法案は否決された。サウスカロライナ州チャールストンの黒人教会で銃乱射事件が今月起きたにもかかわらず、銃規制の機運は再び高まりそうもない。移民制度改革も、共和党が支配する下院で相当な反発を受けている。2015年と16年の債務上限をめぐる議会との「かけ引き」も見通しが明るいとは言えない。医療保険制度改革法(通称オバマケア)も失敗だと広くみなされている。

戦後の時代に再選を果たした大統領の多くは、オバマ氏のように、国内政策を成功させる勢いをつかむのに苦労した。その主な原因は、大統領が率いる政党がしばしば議会で弱い立場にあるからだ。アイゼンハワー(1956年)、ニクソン(1972年)、クリントン(1996年)の各大統領は、上下院共に野党に支配されるという状況で再選を果たした。

議会はオバマ大統領の外交方針にかなり大きな影響を及ぼし得る一方、国際問題においては一般的に、国内問題ほど自由が効かない。要するに、国内政策を推し進める機会が限られている場合、残された任期の少ない大統領は、外交へと注力するようになるというわけだ。米経済が回復基調にあるというなら、なおさらだ。

米欧など6カ国とイランとの核協議は、今月30日に最終期限を迎える。米国内外から批判があるにもかかわらず、包括的合意に達することはホワイトハウスにとって大きな勝利となる。合意は中東の地政学を転換させる可能性を秘めているだけでなく、世界の核安全保障を強化するというオバマ大統領の目標にも寄与するだろう。

通商政策では、オバマ大統領はTPA法案と、貿易による失業者を救済するための措置を盛り込んだ「米貿易調整支援(TAA)」法案に署名することを望んでいる。これらの法案が成立すれば、TPP妥結へと大きく前進することができる。TPPは、米国の国際政策をアジア太平洋地域や他の戦略的な高成長市場に再設定するというオバマ氏の意向を反映するものだ。

オバマ大統領はまた、欧州連合(EU)に加盟する28カ国と貿易・投資協定を結ぶことになるTTIPの締結も目指しているが、これは史上最大の自由貿易地域協定となるだろう。

これら通商協定とイラン核問題に加え、オバマ氏は他の国際的な成果を残し、大統領としての功績をさらに上げることも可能だ。イラクとシリアでは、米国主導の有志連合が過激派組織「イスラム国」を弱体化させようと努力している。また、反政府武装勢力タリバンによる攻撃が続くアフガニスタンでは、一部の米軍部隊が同国の安定のためにとどまっている。

一方、欧州では、ロシアによるクリミア併合後にオバマ政権はウクライナを支援。ギリシャがデフォルト(債務不履行)し、ユーロ圏を離脱することになるなら、その政治的・経済的副産物に対処するため、欧州での米国の外交的役割は拡大せざるを得なくなるだろう。

オバマ氏は現在、自身の大統領としての功績を定義づけるであろういくつかの外交問題に直面し、極めて重大な局面に突入している。国内政策が行き詰まるなか、主要な国際問題に対する大統領の熱意はヒートアップする一方かもしれない。

*筆者はロンドン・スクール・オブ・エコノミクス外交戦略研究所のアソシエート。英国政府の特別顧問を務めた経歴を持つ。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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