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アングル:弾劾あるか、バイデン政権が懸念する「中間選挙後」

[ワシントン 17日 ロイター] - 米国の中間選挙はまだ約10カ月先だ。だが、ジョー・バイデン政権とそれを支える与党・民主党陣営は、上下両院のいずれか、あるいは双方で共和党が多数を占め、政権に関する一連の調査を開始し、大統領の弾劾を試みるシナリオもありうると想定している。

 米国の中間選挙はまだ約10カ月先だ。だが、バイデン政権とそれを支える与党・民主党陣営は、上下両院のいずれか、あるいは双方で共和党が多数を占め、政権に関する一連の調査を開始し、大統領の弾劾を試みるシナリオもありうると想定している。写真はバイデン氏。2020年10月、ペンシルベニア州ダラスで撮影(2022年 ロイター/Kevin Lamarque)

連邦議会議員、議会スタッフ、戦略担当者らは、特に、ドナルド・トランプ前大統領に忠実な共和党議員が主要委員会のポストを得た場合、バイデン政権を標的として多くの調査を行ってくるものと予測している。

調査の推進を図る面々は、たとえばマット・ゲーツ下院議員。ポッドキャストでは司法省を締め上げてやると宣言している。またボブ・ギブス下院議員は、アフガニスタン撤退の件で昨年9月以来バイデン氏の弾劾を主張し続けている。下院監視・政府改革委員会の委員長就任が有望視されるジェームズ・コーマー下院議員の名も挙げておこう。

コーマー氏のオフィスによれば、同議員がやり玉に挙げようとしているのは、大統領の息子ハンター・バイデン氏を巡る疑惑のほか、サプライチェーンの問題やワクチン接種義務化に関する政権の対応、トランプ政権が任用した軍士官学校幹部を排除した問題などである。

ホワイトハウスはすでに、攻撃的な調査から政権を守るために小刻みに布石を打ち始めている。

バイデン政権は特命顧問として前ニューオーリンズ市長のミッチ・ランドリュー氏を起用、1兆ドル規模のインフラ投資法の執行状況を監査させている。執行過程で不正がないか、共和党が精査を試みる可能性が高いからだ。

さらに、大統領法律顧問室を強化するため、民主党で長らく広報担当者を務めた人物を起用し、昨年の米軍部隊アフガニスタン撤退における混乱がもたらした悪影響に対応させている。

2020年の大統領選挙に勝利した後、バイデン氏の政権移行チームは、共和党が上院で過半数を得て政権を標的とした調査を行う場合に備えて大統領法務顧問室を整備したという。政権移行チームのメンバー1人が明らかにした。

2021年1月にジョージア州で行われた決選投票の結果、上院での優位は民主党の手に渡ったが、大統領法律顧問室は引き続き強力な体制を維持している。

政権移行チームで法務政策担当ディレクターを務めたアンディー・ライト氏は、「上院で共和党が過半数を占めると予想する理由は十分にあった」と述べた。「もともとの計画で、上院で共和党が多数を占めることが前提になっていた」

その計画には、オバマ元大統領の任期中に政権に対する調査への対応を担ったジョナサン・スー氏を、バイデン氏の次席法務顧問とする案が含まれていた。

戦略担当者らは、バイデン政権が弾劾調査にフォーカスした研究者や弁護士、広報担当官を新たに採用する可能性があるとしている。

オバマ政権で広報を担当したベン・ラボルト氏によれば、クリントン政権とオバマ政権では、調査を進める連邦議会委員会と規模も専門能力もほぼ同程度の対策チームを組織していたという。

ラボルト氏は、「そうした攻撃を予期し、反撃できるような対等の構造を政権内に用意しておく必要がある」と指摘した。

政権顧問の1人は、バイデン氏は今年、選挙の趨勢を左右する激戦州を遊説する予定だと明らかにした。またホワイトハウスは、新型コロナウイルス感染症(COVID―19)のワクチン普及と、立法面での成果を背景に、上下両院で過半数を維持したいと考えている。

民主党全国委員会は、2024年の大統領選挙でも重要になるウィスコンシン州、ペンシルベニア州などの激戦州に巨額の選挙資金をつぎ込むと予想されている。

もし共和党が11月の中間選挙で勝利を収めれば、「2011年にやったのと同じ筋書きを追おうとするだろう。前回以上に支離滅裂で根拠に乏しいものになるだろうが」と語るのは、バラク・オバマ元大統領の上級顧問で、当時、弾劾調査に対応するために副報道官として登用されたエリック・シュルツ氏。

共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領のもとで次席法務顧問を務めたリチャード・ペインター氏は、「彼らはどんな些細な問題でもやり玉に挙げるつもりだろう」と語った。

いくつかの問題の中でも、共和党は特に、昨年1月6日の連邦議会議事堂におけるトランプ氏支持者による暴動に対する司法省の調査を問題視する可能性がある。この暴動に関する連邦議会の調査が継続されている場合には、これを妨害しようとするだろう。

ゲーツ議員は、1月6日の暴動に触れつつ、「我々は現政権を追求していくが、その手始めは司法省と連邦捜査局(FBI)になるだろう」と述べている。

「米国救済計画」と銘打った1兆9000億ドル規模の新型コロナ対策と、インフラ投資法に伴う歳出も、後者には超党派的な支持が一定程度あるとはいえ、いずれも共和党から見れば評判の悪い政策であり、厳しい目が注がれることになるだろう。

ミネソタ州共和党の戦略担当者として州議会・連邦議会の同党候補者の当選を後押しするエイミー・コック氏は、「当然ながら共和党議員は書類をしらみつぶしに調べ、こうした歳出はすべてかつてないほど緻密な調査を受けるだろう」と述べた。

<弾劾への動き、ハンター・バイデン氏を巡る疑惑>

共和党議員の中には、早くもバイデン大統領に対する弾劾を求める動きが見られる。ギブス議員を筆頭とする4人のグループは、対メキシコ国境における移民問題と、アフガニスタンからの米軍部隊撤退のあり方に関する弾劾条項を提出している。

ギブス議員に同調しているのは、いずれも下院議員のアンディ・ビッグス、ブライアン・バビン、ランディー・ウェーバー各氏である。これとは別に、扇動的な言動で知られるトランプ氏支持派のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員は、バイデン氏が就任宣誓を行った翌日に早くも弾劾条項を提出した。

「ケビン・マッカーシー氏(共和党の下院院内総務)が下院議長に就任したら、初日からバイデン氏の弾劾手続きを進めるよう多大な圧力がかかるだろう。彼が他の選択肢を求めたとしても、それほど多くは望めないのではないか」と共和党指導部に近い議会スタッフは語った。

共和党が下院で過半数を占めた場合には、現在下院議長の座にある民主党ナンシー・ペロシ氏の後任となるのはマッカーシー氏であると目されている。

2020年の選挙期間中、バイデン氏の息子ハンター氏は、ウクライナのエネルギー企業における取締役在任中の不正行為を追及しようとするトランプ氏と共和党員の標的となった。ウクライナでの調査では不正の証拠は見つかっていない。

「ハンター氏絡みの疑惑はたくさん提示されるだろうが、その多くはバイデン氏に対しては不当な攻撃であり、多くは個人的なものだろう」とペインター氏は予想した。

下院民主党はトランプ大統領に対して2回弾劾を求めた。最初はウクライナへの不当な働きかけについて、2度めは1月6日の暴動につながる言動についてのものだったが、いずれも共和党が過半数を占める上院によって弾劾を免れた。

(Jeff Mason記者、Jarrett Renshaw記者、翻訳:エァクレーレン)

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