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8月生産と消費支出は予想割れ、消費増税後の回復テンポ鈍く

[東京 30日 ロイター] - 8月の鉱工業生産と家計調査の結果が弱く、4月の消費増税後における経済回復のテンポが鈍いことを裏付ける結果となった。8月現金給与総額は増加したものの、物価上昇に追いつかず、実質賃金はマイナス幅を拡大しており、勤労者の支出マイナスに影響している可能性がある。

 9月30日、8月の鉱工業生産と家計調査の結果が弱く、4月の消費増税後における経済回復のテンポが鈍いことを裏付ける結果となった。都内で9月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

消費税増税の判断材料として政府が重視する今年7─9月期の国内総生産(GDP)が、従来予想よりも弱めに出る可能性も出てきた。

8月鉱工業生産指数速報は前月比1.5%低下の95.5となり、2カ月ぶりに低下した。ロイターの事前予測の前月比0.2%上昇と予想されていたが、発表数値は予想を下回った。前年比は2.9%低下となり、2カ月連続で前年を下回った。業種別にみると、はん用・生産用・業務用機械、輸送機械、電気機械などが低下した。

鉱工業出荷指数は前月比1.9%低下、在庫指数は1.0%上昇だった。先行きの生産予測指数は9月が前月比6.0%上昇、10月が同0.2%の低下となった。 経済産業省は生産の基調判断を「弱含みで推移」として据え置いた。

8月の家計調査では、全世帯(単身世帯除く2人以上の世帯)の実質消費支出は前年比4.7%減となった。減少は5カ月連続。実額は28万2124円。ロイターが民間調査機関に行った聞き取り調査では、前年比3.8%減が予測中央値だった。

季節調整済み全世帯消費支出は前月比0.3%減、勤労者世帯の実収入は実質で前年比5.4%減だった。

8月の勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり46万3810で、実質前年比5.4%減と11カ月連続で減少。名目でも同1.6%減となった。このうち、世帯主の収入は35万9452円で、実質で同4.7%減、名目で同0.9%減だった。

一方、8月毎月勤労統計調査(速報)は、現金給与総額(事業所規模5人以上)が前年比1.4%増の27万 4744円となり、6カ月連続で増加した。

しかし、物価の変動を考慮した実質賃金は前 年比2.6%減と、14カ月連続でマイナスとなった。下げ幅も拡大し、賃金上昇が物価 上昇に追いつかず低迷が続いている。

所定内給与は前年比0.6%増と3カ月連続で増加した。このうち正社員などフルタイムで働く一般労働者は前年比0.5%増で、5カ月連続増となった。パートタイム 労働者は同1.3%減だった。所定外給与は前年比1.8%増と17カ月連続で増加。特別に支払われた給与 (ボーナス)は前年比14.4%増だった。

8月完全失業率(季節調整値)は3.5%で、7月(3.8%)から改善した。同月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から横ばいの1.10倍だった。完全失業率は、ロイターの事前予測調査で3.8%が予想されていた。

有効求人倍率はロイターの事前予測調査で1.10倍が見込まれており、結果はこれと同水準だった。1.10倍は3カ月連続。

新規求人倍率は1.62倍で、前月の1.66倍から0.04ポイント低下した。低下は2カ月連続。有効求人数は前月比0.2%減で、有効求職者数は同0.2%増だった。

一部のエコノミストからは、新規求人倍率が低下したのは、足元における景気回復の鈍さを反映している可能性があり、これまで堅調さを見せてきた雇用環境にも、先行きに懸念材料が出てきた可能性を指摘する声が出ている。

一方、8月商業販売統計速報では、小売業販売額(全店ベース)が前年比1.2%増の11兆4520億円となり、2カ月連続で増加した。業種別にみると、自動車小売業、機械器具小売業、燃料小売業が減少、各種商品小売業、衣服・身の回り品小売業、飲食料品小売業、医薬品・化粧品小売業、その他小売業で増加した。

農林中金総合研究所・主任研究員の南武志氏は「生産は完全に後退とまではいえないが、相当鈍い。景気全体についても年内は成長は底ばい状態で、明確な改善はしづらいだろう。それが雇用、物価に波及する可能性が高い」と分析。

そのうえで「2回目の消費増税はなかなか厳しいのではないか。増税するとしても大がかりな財政出動が必要だろう。日銀についても年内追加緩和の可能性は十分ある」と述べている。

*内容を追加します。

田巻一彦

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