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インタビュー:最近のドル高は自然な動き、追加緩和必要ない=IMF副専務理事

[ワシントン 8日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)の篠原尚之副専務理事は8日、ワシントンでのロイターとのインタビューで、最近の為替市場の動きは米景気の好調な先行きを反映したドル高であり、米経済や金融政策の方向を考えたときには自然な動きだと指摘した。

 10月9日、IMFの篠原尚之副専務理事は8日、ワシントンでのロイターとのインタビューで、最近の為替市場の動きは米景気の好調な先行きを反映したドル高であり、米経済や金融政策の方向を考えたときには自然な動きだと指摘した。写真は、IMFの篠原尚之副専務理事、2月撮影(2014年 ロイター/Andres Stapff)

日銀の金融政策については、インフレ期待が高まりつつある中での追加緩和はコストがメリットを上回る可能性があり、2年で2%の物価上昇率が達成できなくても追加緩和の必要はないと指摘した。

<思ったほどの円安ではない>

篠原副専務理事は足元の為替の動きについて「ドル高だ。アメリカの景気の先行きが良く、他の先進国と比べると回復度合いがいい。そういう経済の動き、金融政策の方向性を考えたときに当然、ドルが高くなっていくのは自然な動きだ」との見方を示した。円安については「実効レートでみると、他の通貨も下がっているので思ったほど円が安くなっているわけではない」と述べた。

また、円安が日本経済に与える影響については、良いか悪いか判断は難しいとし、「為替の経済への影響のパターンが変化している」と指摘。円安で伸びるはずの輸出が伸びないのは経済の構造が変わっているからであり、IMFの予測も今回はこれまでよりも円安による輸出押し上げ効果を少なく見ていることを明らかにした。

円安による物価上昇と日銀の金融政策の関係については「コストプッシュはあまり意味がない。これで2%を達成しようとすると毎年円安にならないといけない。それ自体は悪いインフレの世界だ」との認識を示した。過度の円安への懸念に対しては「日本の経常収支は黒字を保っており、アベノミクスで期待したポートフォリオの変化があまり起きてない。円からの逃避が起きている感じはしない。危機的な状況にあるという感じはしない」との見方を示した。

<追加緩和はコストがメリット上回る>

日銀の金融政策については「インフレ期待は1%から1.5%くらいのところにある。インフレ期待がこれだけあるなかで、追加緩和するという必要性を正当化するのはなかなか難しい」との考えを示した。

さらに、追加緩和のコストはメリットを上回る可能性があるとし、具体的には「リスクへの感応度が下がり、いろんな資産価格にひずみが生じる。出口の際の負担が大きくなる」点を指摘、「(追加緩和は)必要な限度にとどめることも大事だ」と語った。

さらに日銀が2年で2%の物価安定目標を掲げていることに関して「正確な予想はできないが、(2%達成は)2017年─2018年くらい。従来予測していたより先に伸びている感じがする」との予想を示した。そのうえで、2年という目標にこだわって追加緩和を「する必要はない」とし、「大事なのは日銀がコミュニケーションをしっかりやっていくことだ」と述べた。

<消費増税は予定通り行うべき、10%後の議論も必要>

足元の日本経済については「潜在成長率を上回る成長を続けており、穏やかながらも回復が続く。第3四半期のGDPは3%台の前半くらいはいく」との見通しを示した。先行きのダウンサイドリスクはあるが、穏やかながらも輸出が伸びるとみており、「10%への消費増税は予定通りなされるべきだ」と主張した。その際、経済に悪影響が及ぶ可能性があるため、それを緩和するための「追加の財政面からの刺激は考えられるオプションだ」とし、追加経済対策も選択肢との見方を示した。

そのうえで「消費税を10%にした後の議論ができていない。中期的な財政健全化の姿が見えていないことが心配だ」と指摘、財政再建への道筋を早く決めるべきだとした。

<アベノミクス、市場を納得させる構造改革を>

日本経済のリスクとして「依然として国債残高が増えている」とし、「いまは日銀が買っているが、そのスタンスを変更する時期になると、市場に与える影響が非常に大きくなる可能性がある。米国で来年起きようとしている(利上げに向けた)議論よりマグニチュードの大きいインパクトになり得る」と警告。財政赤字を着実に減らす必要があるとした。

ただ、単なる歳出削減や増税では経済を殺すことになるため、「成長戦略が大事だが、必ずしも市場を納得させるような構造改革のイニシアティブはでていない」との見方を示した。

*内容を追加して再送しました。

木原麗花:編集 石田仁志

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