[東京 9日 ロイター] - 内閣府が9日に発表した5月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額は3カ月連続増加となった。事前の減少予測をくつがえし、設備投資が計画から実行段階に移り始めたことをうかがわせる。ただ、ここへきて世界経済の不透明感が強まっており、投資計画の本格的実行に水を差さないか見極めが必要だ。
5月(訂正)の国内民需は前月比0.6%増の9076億円と、2008年6月以来の高水準となった。
3カ月連続の増加。事前予測調査では5%減と予想されていたが、これを上回り増加となった。前年比では19.3%増だった。
製造業は前月比9.9%増と4月の2桁増に続き、強めとなった。鉄鋼業からの大型案件を含む。
製造業の設備投資が動き出したことをうかがわせ、更新投資だけでなく、生産自動化やIT化、国内回帰による能力増強投資などが出てきているもよう。
非製造業は同4.0%減だったが、1─3月の伸びがきわめて高かったことの反動が続いている。3カ月移動平均では高水準を維持しており、中でもインバンド需要や物流関連、情報通信などで投資が活発化している。
外需は同3.7%増だった。昨年半ばごろからややさえない動きが続いてきたが、今年に入り持ち直し傾向にある。5月(訂正)は大型案件も4件あった。
内閣府は、機械受注の判断を「持ち直している」で据え置いた。 設備投資計画は日銀短観で本格回復が期待される内容だったこともあり、市場では機械受注の増勢は続いているとの見方が大勢だ。
ただ、ギリシャ債務問題や中国株の急落など世界経済の動向が不透明感を増しており「輸出環境が悪化に転じるようであれば、設備投資の動向に影響が出るのは不可避」(農林中金総研・主席研究員の南武志氏)との懸念が広がっている。
*本文中の月を訂正します。
中川泉 編集:田中志保
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」