[ローマ/ミラノ 29日 ロイター] イタリア政府は29日に実施した国債入札で目標額レンジの中間よりやや多い70億ユーロ(90億ドル)を調達した。10年債の平均落札利回りはユーロ導入以来の高水準となった11月の入札時からは低下したものの、投資家懸念を反映し、危険水域とみなされる7%に近い水準に高止まりした。
10年債の平均落札利回りは6.98%となり、ユーロ導入以来の高水準となる11月末の入札の7.56%から低下した。
3年債平均落札利回りは5.62%と、1カ月前につけたユーロ導入以来の高水準7.89%を大幅に下回った。応札倍率は1.364倍。
一方、EURIBOR連動7年債入札の平均落札利回りは7.42%となり、8月30日に実施された前回入札の4.52%から大幅に上昇した。
入札結果を受け、既発10年債利回りが7%を超えて推移。市場関係者は、欧州中央銀行(ECB)がイタリア国債の買い入れを行ったとしている。
欧州中央銀行(ECB)は21日に実施した期間3年の流動性供給オペを通して総額4891億9100万ユーロを供給。また、イタリア議会は今月に入り政府が提示した緊縮財政策を信任した。こうしたことがイタリア短期債に対する圧力の軽減につながったとみられているが、長期債に対する圧力は依然として高い。
コメルツ銀行の金利ストラテジスト、デビッド・シュナウツ氏は「ECBの措置は(短期債に対する)大きな支援となったものの、この日の入札の平均落札利回りは11月末につけたユーロ導入後の最高水準からわずかに60ベーシスポイント(bp)程度しか低下せず、依然として高水準で推移した」と指摘。「これにより、イタリアが依然として著しい圧力にさらされていることが示された」と述べた。
イタリア政府が前日に実施した期間6カ月と2年の国債入札では、落札利回りがそれぞれ前回入札から大幅に低下。期間6カ月の債券の入札では平均落札利回りが3.25%と、11月の前回入札でつけたユーロ導入後の最高水準となる6.50%の半分の水準に低下していた。
イタリアでは来年4月までの間に約910億ユーロの国債が償還を迎え、市場の懸念材料となっている。スピロ・ソブリン・ストラテジーのニコラス・スピロ氏は「この規模を踏まえると、イタリアが2012年を乗り切ることができるか、依然として大きな懸念が残る」とし「来年第1・四半期はすべての注目はイタリアに集まる」との見方を示した。
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