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焦点:オリンパスの上場維持、複数の不確定要因が残り視界不良

[東京 20日 ロイター] 東京証券取引所TSE.ULが20日、オリンパス7733.Tに対して下した上場維持の判断により、同社の上場廃止という当面の不安シナリオは回避できた。

1月20日、東京証券取引所が、オリンパスに対して下した上場維持の判断により、同社の上場廃止という当面の不安シナリオは回避できた。写真は都内の同社本社前を歩く警察官。2011年12月撮影(2012年 ロイター/Toru Hanai)

しかし、同社にはコーポレート・ガバナンス(企業統治)の改善という課題のほか、損失隠しをめぐる捜査で新事実が発覚するリスク、さらには株主による損害賠償訴訟の懸念など、複数の不確定要因が残る。長期的に上場を維持できるかどうか、なお視界良好とはいえない状況だ。

東証はオリンパスを「特設注意市場銘柄」に指定した。指定期間中も同社株は通常通りの売買ができるが、3年以内に内部管理体制を改善する必要があり、改善できなければ上場廃止になる。東証自主規制法人の美濃口真琴常任理事は20日の会見でオリンパスに対し「内部管理体制の充実・強化と再発防止に強く期待したい」と強調した。

<ガバナンス建て直し「楽な話でない」>

オリンパスが今後、指定の解除を受けるには、実質的に新規上場と同程度の審査をクリアする必要があり、東証のお墨付きを得る道のりは険しいとの見方が少なくない。オリンパスは、損失先送りの期間が1990年代からと異例の長期にわたった上、第三者委員会からも「経営の中枢が腐っており、周辺部分も汚染され、悪い意味でのサラリーマン根性の集大成ともいうべき状態」と指摘された。

同社は取締役会の過半数を社外取締役にする方針などを打ち出しガバナンスの立て直しを急ぐが「社内風土の改革は容易でない」(上場企業幹部)との指摘もある。美濃口常任理事も会見後、記者団に対し、オリンパスが審査をクリアすることについて「大変だと思う。そんな楽な話ではない」と述べた。

<捜査・調査で新事実なら「話変わってくる」>

同社の損失隠ぺい・不正経理に対する東京地検や警視庁、証券取引等監視委員会の捜査や調査も終わっていない。上場廃止に相当するような新事実が浮上すれば、東証が再び審査に入る可能性も残る。当局は、年度内にも決着すべく作業を急いでいる。

東証の美濃口常任理事は会見で、資料提供やヒアリングなどでオリンパスから十分な協力を得られたとし「可能な限り事実確認をしているので可能性はあまりないと思う」と前置きしながら、当局の捜査進展を通じて「新たな事実が確認される可能性もある。万が一、今回の判断の前提を覆す事実が判明したら、審査のやり直しをする可能性はある」と述べた。具体例として「本業で架空売り上げを計上していたことなどがあれば、また話は変わってくる」と説明した。

<訴訟リスクへの警戒も根強く>

一方、オリンパスに対して「大規模な株主損害賠償訴訟が起きるリスクも慎重に見極める必要がある」(市場関係者)との見方も根強い。これまでに、米投資家が同社の米国預託証券(ADR)購入者全員を代表してクラス・アクション(集団訴訟)を提起。国内の複数の弁護士事務所も、個人投資家から訴訟の相談が来ていると明かしている。

実際に提訴の動きがどの程度広がるかは現時点で不明だが、仮に安定株主以外の多数の株主が提訴すれば、賠償額は数百億円から千数百億円規模になる可能性も指摘される。オリンパスの11年9月末の純資産は、訂正前の同3月末より1200億円減少の459億円と低下しており、債務超過に陥るリスクが意識されかねない。

東証の上場規則では、債務超過に陥った場合、1年以内に解消できなければ上場廃止となる。オリンパスは財務体質改善に向け増資を検討しているが、引受先やその規模がどうなるかは不透明だ。

(ロイターニュース 平田紀之 編集:北松克朗)

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