[ワシントン 25日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は25日、連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、追加緩和を検討する可能性を示唆した。
FRBは同日発表したFOMC声明で、少なくとも2014年終盤まで政策金利を異例の低水準に据え置く方針を表明。景気てこ入れに向け、利上げ時期の見通しをこれまでと比べ大幅に後ずれさせた。
今回初めて発表した「長期の目標および政策戦略」に関する声明では、透明性向上の取り組みとして、2%のインフレ目標を導入することを明らかにし、歴史的な一歩を踏み出した。
議長は、高失業率の解消につながる場合、インフレ率が目標の2%を上回ることを容認する可能性も示唆。このところ回復の兆しが出ている国内経済には慎重な見方を示した。
議長は「現時点で、米経済が力強い新局面に入ったと宣言する用意はできてない」と発言。
「景気回復が腰折れした場合や、インフレ率が目標に向かわない場合、その方向で追加措置を講じる用意はできている。これは明らかに検討されている選択肢だ」と指摘した。
<FF金利予測、見方分かれる>
FRBは今回インフレ目標を導入することも明らかにした。「インフレ率2%が長期的にFRBの責務と最も整合する」と表明。目標は個人消費支出(PCE)価格指数の前年比伸び率を目安とする。
雇用に関する一定の目標を掲げることは不適切との認識も示した。
FRBはまた、各政策当局者によるフェデラルファンド(FF)金利予想も初めて公表した。
当局者の予想は幅広く分かれ、17人中3人が年内の利上げを予想した一方、2016年まで利上げを見込んでいない当局者が2人見られた。ただ、2014年ごろを利上げ開始時期と予想する見方が大勢となった。
事実上のゼロ金利がこれまでの想定よりも少なくとも約1年半長期化するとの観測から、米国債は大幅に上昇、株価もプラスに転じた。
FRBは米経済について、「著しい下方リスク(significant downside risks)」に直面しているとの認識をあらためて示したが、近く国債の追加買い入れに踏み切る可能性はほとんど示唆しなかった。
2012、13年の経済成長見通しは、昨年11月の予想から若干引き下げた。
ただ、金融政策において「非常に緩和的(highly accommodative)」なスタンスを維持する方針を示し、経済状況により「FF金利を少なくとも2014年終盤まで異例の低水準とすることが正当化される可能性が高い」とした。
市場では、FRBが利上げ開始時期の見通しを2014年まで後ずれさせるとの見方が大勢だったが、同年終盤という予想は少数だった。FRBは昨年8月のFOMC以降、2013年半ばまで金利を据え置く可能性が高いと表明してきた。
<インフレは懸念せず>
FRBは物価の見通しについて以前よりも楽観的になっているとみられ、今回の声明では「引き続きインフレとインフレ期待の推移を注意深く見守っていく」との文言を削除した。
声明は、利上げ時期の見通しを大幅に後ずれさせた以外は、前回12月中旬のFOMC声明をほぼ踏襲した。失業率については「高止まり」していると指摘。企業の設備投資については若干表現を修正し「減速」しているとの見方を示した。
フォレックス・ドットコムの首席ストラテジスト、ブライアン・ドーラン氏は「FRBは、経済成長のペースが失業率を押し下げるのに十分でないということを認識しているだろう」と指摘した。
今回の会合では、米リッチモンド地区連銀のラッカー総裁が、低金利維持の時間軸への言及を外すことを求め、反対票を投じた。
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