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焦点:デフレ脱却へ日銀の決意評価する政府、問われる結果責任

[東京 14日 ロイター] 日銀が金融政策で目指す物価上昇率を1%とする考えを明確にしたうえで、実現のために資産買い入れ基金の10兆円増額に踏み切ったことに、政府内からは、デフレ脱却への強い意志の表れと評価する声が相次いだ。

2月14日、日銀が金融政策で目指す物価上昇率を1%とする考えを明確にしたうえで、実現のために資産買い入れ基金の10兆円増額に踏み切ったことに、政府内からは、デフレ脱却への強い意志の表れと評価する声が相次いだ。写真は都内の日銀本店で2011年10月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

実質的なインフレターゲット導入で説明責任も高まり、日銀の金融政策の透明性は一段と高まると前向きの評価だが、同時に結果責任も問われる。火付け役の前原誠司民主党政調会長は早速、今回の金融緩和の強化で、株価や物価水準、為替相場にどのような効果が出るか注視する必要があると述べており、長期にわたって金融緩和の重しを背負うことになりそうだ。

<政策手段を合わせもつ「実質的インフレターゲット」導入、日銀の決意の表れ>

「日銀は相当思い切った」──。財務省内からは高い評価の声があがる。日銀決定後に会見した安住淳財務相はわかりにくいとの批判が出ていた物価安定の考え方について、日銀が「金融政策で目指す物価上昇率を明確にした」ことを評価し、合わせて実現に向けた具体的措置を決断したことを「強い決意の表れ」と高く評価した。「説明責任をより高める取り組み」(大串博志・内閣府政務官)と歓迎の声が相次いだ。

政策手段を伴わない「インフレターゲット」は絵に描いた餅になりかねない。日銀が「目標」とすることに躊躇してきたひとつの理由でもある。しかし、10兆円にものぼる大規模な資産買い入れ基金の増額に踏み切り、買い入れ対象を長期国債とすることで「長期金利の低位安定に働きかける手段も効果的」(財務省筋)との声が上がった。単なる「組織防衛」との声も影をひそめた。

<米FRBの政策決定や為替への働きかけが、後押し>

日銀の決断を後押しした背景について、複数の政府筋は、2つの要素を指摘する。米連邦準備理事会(FRB)が1月25日に実質ゼロ金利政策を「少なくとも14年終盤」まで続ける方針や長期的な物価上昇率の目標を2%とする「インフレ目標」を決定したことで、日米金利差縮小の思惑からドル・円相場が76円割れ寸前まで約3カ月ぶりの円高水準を記録したことと、円高の加速で与野党から日銀批判が沸騰したことだ。

消費税増税の環境整備としてデフレ脱却が命題となる政府部内からも、日銀の物価政策に関する説明の分かりにくさが災いし、期待インフレ率が高まらないとして、「もう少し工夫や努力ができるのではないか」(古川元久経済財政担当相)と公然と注文が飛び出す始末。財務省は沈黙を守ったが、「円高で苦労する安住財務相も何かやって欲しいとの期待感が強かった」(関係者)としていた。

さらに、政治サイドからは、日銀法改正も視野に入れた超党派の協議設定の声まで上がっていた。

<「結果重視」、与党の緩和期待は続く>

しかし、欧州の債務問題は収束の兆しはみえず、最悪、ギリシャがデフォルトに陥るリスクや、相次ぐ格下げなどによる欧州金融機関の経営問題、アジアからの資金引き揚げの加速による世界的な景気減速の加速など、金融政策の出番はこれからが本番ともみられている。

前原民主党政調会長はさらなる金融緩和決定に「大事なことは結果だ」と釘をさす。「どのように株価、物価上昇率、為替に影響が及ぶかが大事だ」とし、「今回の政策決定には一定の評価をするが、持続性・継続性と結果が求められる点で注視していく」と結果重視を強調。緩和策を実施しても、再び1ドル75.311円の歴史的水準まで円高が加速すれば、政府・与野党の日銀包囲網は再び再燃しそうな気配だ。

(ロイターニュース 吉川裕子 基太村真司;編集 石田仁志)

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