for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

マツダが希薄化率40%の巨額増資、当面は独自路線で生き残り策

[東京 22日 ロイター] マツダ7261.Tは22日、増資や金融機関からの借り入れにより最大2328億円という巨額の資金調達を決めた。他の自動車メーカーから出資を仰がなかったのは、自力で生き残りを目指すという経営陣の意思表示とも受け取れる。

2月22日、マツダは、増資や金融機関からの借り入れにより最大2328億円という巨額の資金調達を決めた。写真は同社ロゴマーク。都内で2010年4月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

財務基盤を強化し、出遅れた新興国で事業拡大を狙うが、現地での競争は激化しており、難路が続くとの見方もある。

<独自路線継続の意思表示>

「資本面では独自路線でいくとの固い意志が込められている」――。マツダが同日発表した巨額増資について、UBS証券の自動車担当アナリスト、吉田達生氏はこう受け止めた。時価総額約2600億円に対し、公募増資による調達額は約1600億円。株式の希薄化は40%に達する。

マツダは30年来のパートナーだった米フォード・モーターF.Nとの関係が急速に弱まっている。フォードは1979年、マツダに25%出資。96─2008年は33.4%まで出資比率を高めて経営権を握ったが、これまでに出資比率は段階的に低下し、筆頭株主の地位からも外れた。マツダは目下のところ、フォードに代わる資本提携先を探すことにも否定的なため、独力で海外展開を進めていく必要がある。今回の増資の背景には、こうした事情がある。

今月発表した2011年4―12月期決算では、為替円高が前年同期と比べて210億円の減益要因となった。マツダは他の自動車メーカーと比較しても国内生産比率が高く、円高の影響を受けやすい構造問題を抱えている。海外生産はフォードと共に展開してきただけに、生産体制のグローバル化に乗り遅れたとの指摘もある。

決算発表の場で山内孝社長は、為替抵抗力を高めるための構造改革を加速すると表明。現在30%の海外生産比率を16年3月期までに50%まで引き上げる目標を掲げた。今回の調達資金の一部も、メキシコに建設している新工場への設備投資に充てる。このメキシコ工場はフォード抜きで同社が初めて海外に展開する工場となる。マツダは中南米を、すでに進出している中国、ASEANに次ぐ新興国での収益源に育てていく方針だ。

<現在は単独生き残りの分岐点>

ただ、中南米は欧米メーカーが先行しており、戦う場としては厳しい。中南米最大の市場であるブラジルでは、フィアットFIA.MI、フォルクスワーゲンVOWG_p.DE、GMGM.N、フォードなどが市場の大半を占める。日系メーカーもトヨタ自動車7203.Tや日産自動車7201.Tが新工場の建設を進め、市場開拓に本腰を入れている。大手の狭間でマツダがいかに販売戦略を組み立てていくかも課題となる。

今回の調達資金のうち、300億円を独自の低燃費技術「スカイアクティブ」を搭載した車両の製造設備投資に充てる。マツダは、ハイブリッドの技術に関してトヨタから提供を受けるが、内燃機関の効率を最大限に高める技術には定評がある。すでに同技術を全面採用し、社運を賭けた世界戦略車となる新型スポーツ多目的車(SUV)「CX─5」を先週発売した。

同技術を他車種に展開していけば着実に収益に結び付けることができるものの、モデルチェンジのタイミングを待たなければならず、新車が揃いはじめ、全体の収益を引き上げるのは「時間がかかる」(アドバンスト・リサーチ・ジャパンのマネージング・ディレクター、遠藤功治氏)見込みだ。

フォードとの関係が実質的に解消に向かう中、ある外資系証券会社アナリストは「マツダが単独でどう生き残っていくかという分岐点でもある」と話す。内燃機関の効率化などの高い技術力を背景に、独自の魅力ある自動車の開発ができれば可能というわけだ。

ただ、アドバンスト・リサーチ・ジャパンの遠藤氏は「自分がパートナーにしたいというところがないということなのだろう」と指摘。資本面で独自路線を打ち出した同社だが、経営陣が思い描いた成長路線を歩めない場合は、新たなパートナー探しに迫られる可能性もありそうだ。

(ロイターニュース 杉山健太郎;編集 布施太郎)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up